近年、顧客製品の高品位化が進行し、自社の従来の品質感度や品質安定性では顧客を満足させることができないケースが増加しており、各工程をリアルタイムにモニタリングし、適切な異常検知と処置、記録を容易且つ迅速に行うことができる一元管理されたシステムと運用体制の構築が急務でした。しかし、個々のシステムが独立していたり、各工場や工程で導入システムやツールが異なり、データ互換性や連携性が無い場合が多いという課題が立ちはだかっていました。各製造業の現場、特に半導体業界での統合データベースシステム構築の経験豊富であるYDCの技術とそのコアの製品である、YDC SONARを採用し、エンジニアが簡単に横断的な分析環境をできるシステムを構築しました。

プロセスデータ実績からのフィードフォワード制御による品質安定化

リアルタイムモニタリング化により、YDC SONARにプロセス実績と品質データが蓄積され、新たなプロセス実績と品質との相関が解明可能となり（Fig.1：製品領域外の温度が低い場合、品質が低下する傾向があります）、プロセス実績から、制御パラメータへフィードフォワードを行い、更なる品質安定化に繋がりました。

大量の品質・プロセスデータを解析することによる技術改善のスピード

YDC SONARにプロセス実績と品質データが蓄積され、多量のプロセスデータを短時間（1/19短縮）で抽出可能となり、技術データ解析（Fig.3：T法解析等）が効率化し、新たな相関、知見の獲得に有効活用され、技術改善のスピードアップに繋がりました。

定量的な効果だけでなく、現場の意識の変化も実感

YDC SONARは、簡単かつ迅速に分析結果を画面で確認できるので、ユーザのモチベーション向上にもつながります。それが、さらに新たな改善への取り組みにつながれば、PDCAのよい流れを実現できると考えました。YDC TrueInsightと組み合わせることによってデータや現場の品質管理状況がリアルタイムに可視化されたことで、データの間にあるやるべきことも見えるようになってきているのではないかと考えています。

◆導入に関しての苦労した点などありましたでしょうか。

複数工場の同時展開であったため、以下の点で苦労しました。

①各工場間での意思疎通、工事の段取り
②各工場内におけるインフラ整備
③複数工場のデータが質、量とも違うため合わせこみをする作業
④YDC SONAR以外のツールも導入したため、YDCとそれ以外のベンダーの意思疎通

今回のプロジェクトの成功は上記問題を経血した結果だと考えています。

◆今回のプロジェクトの成果についてお聞かせ下さい。

複数拠点を跨いで製造され、莫大なデータが発生するウェーハサイズ300mm工場の解析や品質・統計管理に必要なデータを一元管理できるようになりました。
高精度品の解析や装置・環境・資材等の多岐にわたるデータを組み合わせた解析が容易になり、歩留まり向上やクレーム対応にも、データ解析のスピードが事例にあるように軒並み向上した結果、非常に効果がありました。

◆今後の拡張の予定はありますか。

現在、ウェーハサイズ300mmラインの増産計画が進行しているがそれに伴いさらに良いシステム環境を構築すべくインフラ、ハード、YDC SONARの拡張を計画しています。
また、解析へのAIの活用(ディープラーニング)等も適用を考えています。
更に、ウェーハサイズ300mmラインを運用している関係工場への展開は、段階的に実施されていきます。

◆ワイ・ディ・シーへの期待などがあればお聞かせ下さい。

YDC SONARはDWH（データウェアハウス）としては非常に優秀ですが、周辺ツールに物足らなさもあります。また、YDC SONARのテンプレート機能を更に簡便に使えるようにしてほしいと考えています。
今回のプロジェクトでは、異なるベンダーによる複数システムの連携を取るのが大変で、各社問題点の解決に多大な時間を要しました。
今後も当社の業務に関連する様々なシステムの提案や、各社との綿密な連携を取りながら、積極的にサポートしていただけることを期待しています。

＊株式会社SUMCOのサイト
＊制作・撮影日時　2017年10月
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