Case Study

事例紹介

部門を横断したデータ分析を実現

世界有数の変速機専門メーカーであり、「グローバルNo.1 のオートマチックトランスミッションメーカー」を目指すジヤトコ株式会社。2011年からYDC SONARを導入し、製造・品質管理などの情報を統合することでデータの分析環境が格段に向上。2018年現在、開発・生産・品質部門においては“YDC SONARありき”で業務が行われるまでになった。その過程を、ジヤトコ株式会社 品質企画管理部 プロフェッショナルスタッフ 木室 正一郎氏、品質企画管理部 小澤 なつ子氏にうかがった。

お客様に聞く

品質企画管理部 プロフェッショナルスタッフ 木室 正一郎氏(左)、品質企画管理部 小澤 なつ子氏(右)

品質の向上や対応のスピード化を促すために
YDC SONARを導入

YDC SONAR 導入前の課題を教えてください。

自動車部品は多種多様な部品と工法で成立しています。それぞれの部門が所有するデータは大量かつ複雑で、YDC SONARを導入する以前は部門ごとで担当者しか知らない状態で蓄積・保有されていました。そのため、担当者が気づかなければ、不良品を作り続けてしまうという構造的な課題がありました。

情報が共有化されていない状態では、不具合が生じたときに迅速な対応ができない…。そうした危機感から、2008年に品質部門で「品質情報のICT化プロジェクト」が発足し、社内の生産や市場品質情報のICT化が進められることになりました。

どのような理由でYDC SONARの採用を決めましたか。

ICT化を図るにあたり、まず、他社を参考にさせていただきました。見学した工場では、現場情報を統合的に管理して検索・分析し、部門横断でデータを蓄積・共有して「見える化」するシステムが構築されており、ダッシュボード上でリアルタイムに課題が共有されていました。当社でもこうしたシステムをぜひとも取り入れたいと考え、導入が検討されることになりました。

当初は社内でのシステム開発を考えましたが、一から構築するとなると予想以上に膨大な時間とコストがかかることが判明し、既存のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの利用を検討しました。

最終的には、さまざまなデータに対する優れた分析性や画面によるデータの可視化が可能なこと、テンプレートを使った情報の抽出や分析方法を横展開できる利便性の高さ、低コストといったことから、YDC SONARを採用することになりました。

全社的に情報の”SONAR化”を進めた結果
”手放せないツール”に

YDC SONAR導入後はどのように利用してきましたか。

YDC SONARの運用がスタートしたのは、2011年6月からです。品質保証部門から導入し、当社が開発・生産している自動車部品の統計的工程管理(SPC)による、品質の「常時監視」や不具合発生時の「原因調査」などに利用することから始めました。

データベースの拡充に関しては、工程管理データや設計・工程変更情報などの社内データをYDC SONARに取り込み連結させることから始めて、どの部門であっても目的に応じて必要なデータを検索・抽出できるようにしました。

現在にいたるまでの利用状況を教えてください。

導入後は、個別でのデータ管理の現状を変えることからスタートしました。データ分析のスムーズな運用のためには、YDC SONARを社内で周知してもらい全社でデータの“SONAR化”を進める必要があったからです。そのための第一弾として、開発の中でも、例えば、主要クライアントのシステムを定常的に使用している社内ユーザーをターゲットに全国の開発現場を回り、その利便性の高さを訴えることから始めました。

その後、開発部門でYDC SONARの利用率が高まった段階で、関係システムの情報やサーバー管理情報を“SONAR化”。簡単な検索操作をするだけで、関係するユニットの情報が一括でダウンロードできるようにしました。次の段階では、各部門固有の情報管理用にYDC SONAR本体を提供し、各部門でローコストでの情報保管を可能にしてユーザーが利用しやすいように便宜を図りました。それに伴い、導入部門も生産から品質や開発に至るまで拡大し、今では数多くの社内ユーザーが利用しています。

YDC SONARについて社内の評判はいかがでしょうか。

YDC SONARのよさは、その高いユーザビリティとトレーサビリティにあります。社内でも、「一度利用すると手放せない」と、大変好評です。

何百もあるデータベースがクライアントによってグルーピングされ、車体番号など社内共通のキーワードが割り振られることで、開発から 納品後までの情報全てが関連づけられている状態で閲覧することができます。しかも、それらの情報すべてをワンクリックで取り出すことができるため、分析速度も格段に速くなりました。

そのことで、例えば、品質管理部門であれば、市場での製品不具合の早期発見・対策が可能になりました。開発部門の場合では、品質部門のデータをいくつかのテーブルにわたって取り出して分析することで、より高品質の製品づくりの検討を工数をかけずに行うことができるようになりました。さらには、YDC SONARで分析することを前提とした制御プログラム開発を行い、開発の効率化を図るといったことも実施されるようになりました。

このように、導入から8年経った今では、“YDC SONARありき”で開発・生産・品質管理にわたる業務が行われるようになっています。

今後の課題と期待:人工知能(AI)連携機能実装の
「YDC SONAR Version 7.0」でビッグデータの解析を

これからYDC SONARに期待することを教えてください。

主要なデータはYDC SONARにほぼ揃っている状態にありますが、品質向上のためには、今後、より詳細なデータを取り込むことが課題となっています。いつどこでどのような状態で不具合が生じ修理されたのかと言った、より細かい情報が必要になってくるのです。ただ、情報精度のメッシュを密にすればするほどデータ量が膨大になり、人に頼った分析では限界があるのも事実です。

そうした問題点を解決するため、AI連携機能が搭載されたYDC SONARの新バージョン、Version7.0を利用しビッグデータ解析などに役立てればと考えています。ワイ・ディ・シーには今後、YDC SONARに蓄積した情報から新しい見地による分析結果を手軽にトライアルでき、かつ、自力での自動定期分析や修正もしやすい手法を考案していただければ非常に助かります。今後も重要なパートナーとして、大いに期待しています。

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

*取材日時 2018年10月
*ジヤトコ株式会のサイト
*記載の担当部署は、取材時の組織名です。
*掲載文中の商品名は、変更・販売終了となっている場合があります。 詳しくは、当社のソリューションページをご確認ください。

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