伝送器ビジネスで実施した今回の改革の概要を教えてください。
横河電機 津曲氏:お客様から引き合いをいただいてから“すり合せ型”で仕様を決定していた受注プロセスを、標準品あるいは標準ユニットの組合せで仕様を決定する“組合せ型”に変革する取組みです。
お客様のオーダーに合う標準仕様が存在しない場合には特注対応として仕様をすり合せながら固めていくプロセスを動かしますが、特注プロセスには人手も時間もかかります。これまでの伝送器ビジネスでは、標準品とわずかに仕様の異なる要求があったような場合に、既にお客様に提供した実績のある既存のユニットや部品を活用することで対応できる繰り返し性の高い仕様の場合でも、特注プロセスで新たに図面を発行しなければならないという問題がありました。そこで、複数の標準品を組合せる「組合せ製品」の考え方を取り入れて、特注対応に依存してきた部分を標準品の組合せで対応できるようにしていこうということです。
“組合せ型”への変革を検討することとなったきっかけを教えてください。
横河電機 津曲氏:改革の必要性を感じるきかっけとなったのは、2000年頃から加速しはじめたグローバル展開です。横河電機の伝送器ビジネスは、もともと日本市場をターゲットとした事業形態であったため、いざ海外に出てみると様々な課題に直面しました。特に、製品ラインナップの面では、競合他社に比べて立ち後れていると痛感しました。競合他社ではお客様の設置環境での様々な使われ方に対応できる標準品を数多く用意している。対して横河電機では標準品のレパートリーが少なく特注対応をせざるを得ない。事業を拡大しようとすれば特注対応の要員を増強しなければならない状況になります。これではグローバルで競合と渡り合うことはできません。そこで、グローバル市場が主戦場となる将来のビジネスを考えたときに、“すり合せ型”の特注対応ではなく、標準品の“組合せ型”で様々な要求に対応できるようならないかと思い立ちました。ちょうど2009年頃のことです。
“組合せ型”を実現すると、製品販売のフレキシビリティが高まり、受注機会が拡大します。もちろん業務効率やコストの面での効果も期待できますが、内部的な削減だけでなく、製品の体系や受注の仕方を根本的に見直すことで、お客様の要求に柔軟に対応できるようにしていきたいという強い思いがありました。
活動の立ち上げから現在まで、どのように改革を進めてきたのでしょうか。
横河電機 津曲氏:2010年頃から図面体系や製品コードの検討を始め、2012年9月に正式にプロジェクトを発足させました。当初は伝送器ビジネス拡大プロジェクトのサブプロジェクトの一つという位置付けであったため、責任者である私を含め兼務で活動している状況でした。その後、徐々に活動の意義が評価され始め、2013年の春には、経営会議でこの取組みを組織横断プロジェクトと位置付けて加速していくことが決まりました。現在では、全社レベルの強力なバックアップのもと、各部門から高い意識と専門性をもったメンバーを集めて専任体制で推進しており、2015年11月のリリースを迎える段階に来ています。