Case Study

事例紹介

複数存在するEDIのマイグレーションを段階を踏んで実現

富士電機株式会社(以下富士電機)では、過去に持株会社制によって分社化した影響により複数のEDIシステムが存在していました。それを情報基盤システムに統合しようとするプロジェクトが発足し、ワイ・ディ・シーが統合のサポートを進めています。このプロジェクトの経緯とワイ・ディ・シーの提案を採用した理由について、富士電機株式会社 経営企画本部 IT戦略室 IT戦略部 上岡朋来 氏と、富士電機ITセンター株式会社 基幹システム部 国内手配システム課齊藤哲也氏、井澤悠介氏に話を伺いました。

お客様に聞く

経営企画本部 IT戦略室 IT戦略部 上岡朋来氏(左 側)と、富士電機ITセンター株式会社 基幹システム部 国内手配システム課 齊藤哲也氏(中央)、井澤悠介氏(右側)

複数のEDIをいかに統合・拡張していくか

貴社のEDI(Electronic Data Interchange)を運用する、富士電機ITセンターの基幹システム部国内手配システム課の業務内容を教えてください

基幹システム部は、富士電機の基幹業務で利用するシステム(販売・会計等)を保守・運用している部です。その中で国内手配システム課は受注・手配~売上を「MOTHER」という基幹システムで管理している部署です。また、MOTHERでは「コンポーネント系」、「プラント系」、「食品流通系」の3つの機能群に分け、運用しています。

貴社のEDIのこれまでの歴史について教えてください。

当社は2003年に、持株会社のホールディング・カンパニー制に移行しました。そして2011年には富士電機ホールディングス株式会社が富士電機システムズ株式会社を統合し、「富士電機株式会社」に商号を変更しました。分社化の際にEDIを含む各種のシステムが複数稼働していたため、MOTHERへの統合プロジェクトが発足しました。そこで、あるベンダーのEDIを全社のEDIとして拡張し、将来的には海外向けEDIとしての利用も視野に入れていこうという計画になりました。

【Phase1 2012年】~特約店向けWeb EDI構築~
その時の課題とは、どのようなものだったのでしょうか?

当時、当社は特約店様向け受注システムとしてWebクライアントパッケージを使っていました。これはインターネット経由で使える点がよかったのですが、メーカーのサービスが終了することになり、急遽代わりのものを探す必要が出てきたのです。

支援前のシステム全体像

EDI市場での高いシェアと実績が選定のポイント

数あるEDIベンダーからワイ・ディ・シーを選んでいただいたポイントは?

まずはインターネット経由でファイルデータを送受信できるものというのが第一条件でした。もう一つの条件としてメールに添付されたエクセルを受け取り、それをデータベースに入れるというメール対応のEAIパッケージ対応がありました。ACMSにはそれに対応する機能もあったので、ACMSでのEDIシステム構築経験豊富なワイ・ディ・シーさんとのお付き合いを決めました。

他に比較検討したEDIパッケージもあったのですが、それらは出始めの製品であったり、実績面で不安なものもありました。その点、EDI市場で高いシェアを誇るACMS B2B、ACMS Web / deTradeⅡなら大丈夫だろうという安心感があったことも確かです。


システムの移行に関して、難しかった点はありますか?

基本的には非常にスムーズに移行できたと思います。もちろん、インターネット経由のものなので証明書発行や、特約店様への使い方の説明などが必要となりましたが、特に問題になるようなことはありませんでした。結果的に、スムーズにWebクライアントパッケージからのリプレースに成功し、現在は国内各工場からのサプライヤーへの発注などにも用途を広げています。


ACMSを導入したことで感じたメリットについて教えてください。

特約店様へのサービス・レベルを落とさずに移行できたこと。また以前のWebクライアントパッケージは相手の拠点と自社サーバを繋ぐ機能のみで、その後に既存EAIパッケージと組み合わせて使うという煩雑さがありました。ACMSは単体でデータを取り込んで、マッピングして次の拠点に渡すことがワンパッケージでできるので、運用面でも非常に楽になりました。

●2012年当時のEDIの取引社数:106拠点(社内外含む)
●特約店数:16社
●1日当たりのファイル数:500送受信
●1日当たりのトランザクション数:1万5000~2万件( 1ファイル中に複数の注文を含む)

2012年リプレース後のシステム全体像

【Phase2 2015年】~調達Web EDI再構築~
 2015年に調達Web EDIの再構築を行ったということですが?

この時はOSのサポート終了により、調達Web EDI(営業からサプライヤーへ発注を行う仕組み)のリプレースを余儀なくされました。また、既存システムのソースコードにはさまざまなプログラム言語が存在しており、保守ができないという状況もありました。

当初は独立したプラットフォームでの構築を検討したのですが、ACMSを経由して基幹システムに連携させる方向で再構築を行うことにしました。

リプレースにあたってお困りのことは?

既存システムのソースコード書き換えも検討したのですが、OSのサポート終了までという時間との闘いがありました。その対応としてACMSに連携手順を追加することで、現状の機能を損なわずに、小改造で乗り切ることができました。
発注から実質3カ月程度でリプレースでき、非常に助かりました。

2015年リプレース後のシステム全体像

【Phase3 2016年】~既存EDI統合~
 2016年には既存EDIの統合に向けた動きがあったと伺っています。

社内のEDIは複数存在し、運用が煩雑になっていました。そこで以前は、既存EDIパッケージを成長させていく方針だったのですが、ACMSの機能の方が、今後の成長(例えば海外向けEDI手順といったことも含めて)に向いているだろうと考えました。また、既存EDIパッケージを稼働しているサーバのサポート終了も迫っていました。

当時の課題はどのようなものでしたか?

既存EDIパッケージは物理サーバで稼働するダイヤルアップ回線を利用していました。新規に構築したACMSは仮想サーバで稼働しております。システム統合を実現するにはダイヤルアップ回線のものをインターネット回線に移行する必要がありましたが、社内の運用ルールにより、全ての回線を仮想サーバへ移行するのは難しい状況でした。

既存EDIは当社が直接繋がっているお客様との間で使うものなので、リスクは極力避けたいという思いもありました。そこで、プロジェクトを開始するにあたって2015年3月の段階で、ワイ・ディ・シーさんに現行のEDIの調査を依頼しました。

実際、ワイ・ディ・シーに提案を依頼する前にRFPを作成してベンダー数社に提案を依頼しましたが、要件に見合う提案をしてくれたベンダーはありませんでした。

調査の結果はいかがでしたか?

既存EDIと自販機系EDIはACMSに移行できることがわかりました。ただ、自販機は他のシステムに切り替えた直後だったので、2016年は既存EDIのACMSへの統合を進めることに決定しました。

移行にかかった期間はどのくらいでしょうか?

移行期間は、半年くらいだったと思います。EDIパッケージを稼働しているサーバのサポートが2016年の3月まででしたので、こちらもスムーズに進めて頂き、助かりました。

お客様の信頼を得るための最重要システム

統合の結果についてはどのようにお考えですか?

既存EDIは、今までは営業職のみが利用するシステムの位置づけでしたが、各EDIをACMSに集約していった結果、ACMSを介しての通信(EDI通信)を行うお取引先様が増加しました。各生産拠点の資材発注業務や物流会社との連携といった業務内容が拡大されたことでその重要性も高まり、富士電機全体で使える情報基盤システムとして格上げできたと思います。

●2012年当時のEDIの取引社数:106拠点(社内外含む)
●特約店数:16社
●1日当たりのファイル数:500送受信
●1日当たりのトランザクション数:1万5000~2万件( 1ファイル中に複数の注文を含む)

取扱件数がこれだけ増えたにもかかわらず、国内手配システム課の作業負荷はほとんど変わっていません。それだけ効率化ができたということだと思います。当然、コストも下がっています。こうした点も、ACMSに統合したメリットだと考えています。

現在のシステム全体像

システムの重要度という点ではいかがですか?

EDI業務が止まると富士電機の業務が止まりますから、最重要といってよいと思います。特にコンポーネント系は、今日注文をもらって在庫があれば即日出荷します。大量注文の場合でも確実に当日受注・当日出荷できるのはEDIがあるからで、これができなければお客様の信頼を得ることもできません。

当社のEDI標準情報基盤となっているACMSは、常に安定して動いてくれていますし、自動リカバリーの機能もあるので、安心して運用できます。例えば工場系は午前3時~朝方がピークなのですが、そうした時間帯でもビクともしない安心感があります。

アプローチや担当者のスキル、サポート体制などを評価し、
ワイ・ディ・シーの提案を採用

ワイ・ディ・シーの提案を採用した理由を教えてください

ワイ・ディ・シーに相談をする前にベンダー数社にRFPを提示し提案を依頼しましたが、要件に見合う提案をしてくれたベンダーはありませんでした。

ワイ・ディ・シーは、ACMSの運用監視ツール(VIGIE:ビジエ)を開発・提供するなど、EDI業務に関する造詣が深く、ACMSに関する技術力も高く、導入実績やサポート実績が豊富なベンダーだと感じました。

実際に提案を依頼すると、当社の意向を最大限に汲み取ったサポートを提案してくれただけでなく、段階を踏んで確実にマイグレーションを実現し、最終的に自社で開発・運用・メンテナンスできる体制を確立するための手法とロードマップを明確に示してくれました。

また、質問に対する受け答えも的確で、担当者のテクニカルスキルやコミュニケーションスキルも高い。EDI専任のサポート体制も整っていることを考慮し、ワイ・ディ・シーの提案を採用することにしました。

これからも充実したサポートに期待

今後の課題についてお教えください。

グローバル化の一環として、海外のお客様からEDIを直接受けられるのが当たり前となっている状況です。2016年の既存EDI統合は、統合して終わりではなく、その先にあるWorldWideでの集配信が行える環境づくりのスタートです。ACMSに統合することを決断した理由の一つが、EDIのグローバル化です。

ACMSは海外の標準プロトコルも実装可能で、拡張性があるのがいいですね。相手がどのようなプロトコルでも対応できると考えています。海外のお客様の中には「EDIができない相手とは付き合わない」とはっきり言ってくるお客様もいらっしゃいます。そうした中で、EDIの海外対応は、富士電機としてマストの仕組みだと考えています。


そうした課題に対して、ワイ・ディ・シーに期待する点をお聞かせください。

海外の接続先に対してEDIを進めていく上でどうすればよいかを支援頂きたいです。接続プロトコルやフォーマット等の、さまざまなノウハウをお持ちだなと感じています。痒い所に手が届くサポートを頂けているので、そうした点に今後も期待し、これからも頼りにしていきたいと思います。

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました

*取材日時 2017年7月
*富士電機株式会社のサイト
*記載の担当部署は、取材時の組織名です。

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