Case Study

事例紹介

EDI運用監視業務の俗人化を排除し、障害を早期に特定・回復する体制を確立

金融・公共・法人など幅広い領域で情報サービスを提供するAGS株式会社(以下、AGS)では、ACMS(Advanced Communication Management System)の運用における障害の早期特定や伝送エラーの監視を効率化するためにVIGIE(ビジエ)を導入。同社が提供するEDIサービスの高可用性を確保している。導入の経緯と効果について、AGS株式会社 事業推進本部システム統括部 企画統括グループ グループマネージャ 中川 英行氏、田尻 貴氏、金川 美香子氏、システム運用部・電算第1グループ 飛田 泰正氏に詳しく伺いました。

お客様に聞く

事業推進本部システム統括部 企画統括グループ グループマネージャ 中川 英行氏(左)、金川 美香子氏(中央左)、田尻 貴氏(右)、システム運用部・電算第1グループ 飛田 泰正氏(中央右)

月間約1200万件の取引を行うEDIをACMSで運用

ACMSの利用状況について教えてください。

AGSでは、お客様の経営課題に応える多種多様なサービスを展開しており、特定業種に特化したサービスはもちろん、業種を問わず共通して利用されるサービスも数多く提供しています。

お客様と金融機関との請求データ授受をAGSがデータ伝送などにより代行する「口座振替VANサービス」もその1つです。また、お客様の要望に応じてEDI(企業間データ連携)を構築・運用するケースもあります。これらEDIの構築・運用にACMSを利用しています。

取引件数は、どのくらいになりますか。

ユーザ数は100ほどですが、月あたりの取引件数は1200万件におよぶこともあります。これまでは、決済データをCMT(Cartridge Magnetic Tape)などの磁気媒体を使ってやり取りしていたのですが、ここ数年、利便性の向上や物理的なメディアの運搬に伴うリスクを排除するため、EDIへの切り替えを推し進めてきたので、取引件数は急増しました。

EDIサーバにACMSを採用した理由を教えてください。

ACMSは利用実績も豊富で、全銀協標準プロトコルをはじめ、さまざまな形態のデータ変換やフォーマット変換に対応しており、汎用的に利用できるというのがACMSを採用した最大の理由です。

EDIシステムの信頼性を確保するために
ACMSの監視は必須

ACMSの監視システムを利用している目的を教えてください。

決済代行サービスでは、お客様の大切な取引データを取り扱っており、万が一、伝送処理が正常に実行されないようなことがあれば、お客様に損害を発生させてしまうことになりかねません。また、単にデータを伝送すればいいというわけではなく、指定の日時に処理が完了されるかどうかも重要なポイントとなります。

そのため、システムトラブルなどによる影響を最小限に抑え、確実にデータが伝送されるようさまざまな対策を実施しています。監視システムは、その一環として、システム全体の信頼性向上と運用管理業務の効率化を図るために導入しています。

何を監視しているのでしょうか。

伝送処理が予定通りの時刻に完了したかどうかの監視と、ACMSの稼働状況の監視が主な対象となりますが、インシデントが発生した場合にリアルタイムでその状況を把握できることが重要です。
現在、当社では監視ツールとしてVIGIEを採用し、インシデントが発生した場合はアラームボックス(パトランプ)が点灯して、迅速な対応が取れるようになっています。

VIGIEを導入する前は、どのように監視を行っていたのでしょうか。

ACMSの稼働状況を24時間365日付きっきりで監視をするわけにはいきませんので、ACMSのエラーメッセージをチェックして通知するプログラムと、データ転送が指定の時刻通りに処理されたかどうかをチェックするプログラムを自社内で作成して監視の自動化を図っていました。

ACMS本体のバージョンアップを契機に、
監視体制の強化・見直しを実施

監視システムを入れ替えた理由を教えてください。

「ACMS本体の負荷軽減」、「監視対象の設定簡略化」、「障害箇所の早期特定」、「監視ツール保守要員の確保が困難」という4つの理由から、以前より監視システムの刷新を検討していましたが、今回、ACMS本体のバージョンアップに合わせて監視システムの刷新も進めることにしました。本体がバージョンアップすれば、いずれにせよ、監視システムの動作確認をしたり、修正なども加えたりしなければなりませんので、監視体制の強化・見直しをするのにも良い機会であり、予算も確保しやすいと考えたからです。

各理由の詳細は、次の通りです。

(1)ACMS本体負荷の軽減
旧監視システムはACMSが提供しているコマンドを利用していました。そのため、伝送データ量が増えるとACMS本体への負荷が増大していました。本体と監視システムを分離することで、ACMS本体と監視システム、両方の最適化を図りたいと考えました。

(2)監視対象の設定簡略化
監視のスケジュールの設定をする際、旧監視システムでは、都度、監視システムの保守担当者に依頼をしなければなりませんでした。そのため、作業が属人化し、登録ミスなどを防ぐためのチェック作業にも手間と時間を取られていました。

(3)障害箇所の早期特定
旧監視システムでは、エラーが発生すると専用PCが警告音を発して、その内容を画面で確認していました。一方、ほかのシステムではトラブル発生時にパトランプで知らせるようになっていましたので、ACMSの監視についても同様の仕組みを用意し、障害の早期特定と迅速な対応ができるようにしたいと考えました。

(4)監視ツール保守要員の確保が不要となる
旧監視システムの保守は属人化しており、代替要員の確保が難しいというのもシステム刷新の大きなポイントでした。新規にパッケージシステムを採用することで、保守やACMSのバージョンアップへの対応もスムーズになると期待しました。

ACMSの監視に特化した
パッケージとして完成度の高さを評価

監視システムとして、VIGIEを選択した理由を教えて下さい。

VIGIEは、ACMSの監視に特化したパッケージシステムなので機能が洗練されており、完成度が高いと判断しました。

機能面では、エラーの通知や伝送の確認といった要件機能を網羅しているだけでなく、設定や稼働履歴などを視覚的に操作・確認できるので、使い勝手が良く運用管理業務を効率化できると考えました。

システム面では、メモリ使用量の少ないエージェントを本体に常駐させるだけで、ACMS側への影響や負担が少ないというのもポイントでした。

しかも、ACMSに精通した国内ベンダーが提供する製品であり、提案時の対応などを見ても、サポートや保守面も安心で、継続的に機能の追加や向上も期待できるという点も評価しました。

また、まだ実装する予定はないのですが、VIGIEには汎用的監視ツール(Hinemos)がバンドルされており、通信回線の死活監視などもできるので、将来的にほかの通信機器などと統合した管理環境を構築できる拡張があるということも選定理由の1つとなりました。

導入時に苦労したことなどはありましたか。

実作業としては、VIGIEのサーバを用意してACMSサーバでVIGIEのエージェントを走らせるだけなので、通常の構築以上に手間取った点などはありませんが、導入時には1か月ほど、旧監視システムと並行して運用し、エラーの通知などに齟齬(そご)がないかを確認しました。

監視体制の統一化を図り、より迅速な初期対応が可能に

VIGIEの導入効果について教えてください。

まず監視体制に関して、ACMSのエラーや予定時間になっても伝送が行われなかった場合、パトランプで通知されるようになり監視体制の統一化を図ることができました。同時に、通知を見てすぐにWebブラウザでエラーの内容を確認できるようになったので、これまでよりも迅速な初期対応が可能になりました。

監視スケジュールの設定に関しては、運用担当者が容易に設定できるようになり作業が大幅に簡略化され、設定のチェックも確実にできるようになり、ミスや漏れの削減にもつながっています。

一方、運用面では、属人性が排除され、監視システムの保守・運用にかかる負荷やリソースは大幅に削減されました。TCOの削減という点でも大きな効果があったと考えています。
また、VIGIEを導入したことで、時系列に沿った稼働状況や、負荷の集中する時間帯などを、簡単な操作で、視覚的に確認できるようになりました。

さらには、監視システムに何かあっても、ワイ・ディ・シーさんがサポートしてくれるという安心感を得られたことも、大きな導入効果の1つです。

ワイ・ディ・シーの対応はいかがでしたか。

当社からの問い合わせには、常に迅速かつ丁寧に対応いただき、安心して設計・導入を進めることができました。現場で作業をサポートしてもらった際も、準備に余念がなく同じエンジニアとして感心させられたことを覚えています。

また、当社が要望した機能なども、可能なものはバージョンアップで対応してもらえたので、VIGIEというパッケージシステムを選択して本当に良かったと思っています。

今後の拡張予定とワイ・ディ・シーへの要望と期待

今後の拡張予定などはありますか。

エラー状況や通信状況をグラフなどで可視化できるのは、とても有用です。まずは監視体制を強化・効率化できましたので、次のステップとしては、これまでは見られなかったこれらの情報を分析・活用していきたいと考えています。
具体的に期待する活用法は、次の通りです。


●これまで直感的に感じていた状況の裏付けとなる指標としてグラフを活用
●データを詳細に分析することで、トラブルの原因を効率的に追究
●大きな事故の発生を予測し、事前の予防策を立案
●ACMSインフラの強化を図るための基礎データとして活用

ワイ・ディ・シーへの期待などあればお聞かせください。

VIGIEのすべての機能はまだ使い切れていないかもしれませんが、まさに「痒いところに届く」機能が搭載されており、とても有用なツールだと評価しています。

これからも、その方針を曲げることなく、ユーザにとって使いやすいツールやシステムの提供に期待しています。


お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

*取材日時 2014年6月
*AGS株式会社のサイト
*記載の担当部署は、取材時の組織名です。

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