シミュレーションデータの活用と見える化

2013.11.29

シミュレーションデータの活用と見える化


◎はじめに

前2回にわたってTyecin株式会社様にシミュレーションの概要とその事例をご紹介いただきました。

生産管理は管理項目に基づき生産計画の立案を行います。しかし、管理項目の変動や生産目標数、納期の変動の激しさから、その予測精度維持が難しいことを理由に、経験や勘に依存している部分が多くなっています。シミュレーションソフトはこれらの属人的な部分を排除し、生産能力と運用ルールに則った仮説検証を行ってくれる強力なツールです。

株式会社ワイ・ディ・シー(以下、YDC)は「YDC SONAR」という製造実績データを活用するソリューションを扱っています。YDC SONARの詳細についてはここでは割愛しますが、シミュレーション結果として得られる未来の予測データは我々が扱ってきた実績データとは似て非なるものと言えます。データ構造や形式は同じですが、その性質が実績データからは得ることができないデータだからです。

そこで予測データとYDCが扱ってきた実績データを合わせて活用することができれば、今まで見ることができなかった過去、現在、未来という範囲で様々な知見を得られるのではないかと考えました。

どのような知見が得られるのか具体的に例を紹介します。

◎シミュレーションデータ活用例

ここでは管理部門別に、予測データと実績データを用いたデータの見える化の例をご紹介します。シミュレーションデータは前回と同様Tyecin株式会社様の生産能力シミュレーションソフトManSimを使用します。

■生産管理部門の方へのご提案

生産能力の見える化

シミュレーションソフトは、製造における様々な制約を考慮し、製造ラインの様々な資源(人・設備など)を用いてどれだけの生産能力を活用できるかを予測します。実績データと合わせてみることで、過去の生産能力の推移と今後予想される生産能力を合わせて俯瞰することができます。

例えば生産能力が需要予測に対応できないと早い段階でわかれば、事前に設備投資や工程改善などのアクションの検討を行うことができ、機会損失の防止につなげることができます。

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生産計画の作成

シミュレーションソフトを利用することで、製造ラインが保有している資源(人・設備など)を利用して、製品の製造目標数を達成できるかの試算が可能です。

例えば設備へ投入するロット選択の優先順を変更した場合に、どれくらいの生産能力を有効に活用できるかなど、様々な角度で製造パターンを検証・比較し、シミュレーション結果を生産計画の参考情報として役立てることができます。

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予測と実績の差の見える化

予定された生産計画に対して実績はどうなったかを事後検証することで、問題点の解析ができるようになり、今後の改善案の事後検証が容易になります。また、初期の計画に対し様々な変動要因が発生した場合、現在以降の計画変更を早期に立案することも重要です。

実績データと生産計画データ(シミュレーションデータ)を用いて下記のような管理グラフ作成すれば、予定と実績の差の把握のみならず、計画の変動発生時に未来の傾向管理を行うこともできます。

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■製造技術部門・現場の方へのご提案

設備稼働率

装置の改造による能力の向上、段取り替えやメンテナンスなどを考慮して、いかに設備稼働率を高く維持するかは製造技術担当者の永遠の課題です。実際に製造を行った設備稼働率実績とシミュレーションによって得られた設備稼働率予測を見える化し、その差分の原因を明らかにすることができれば、稼働率低下の要因分析と設備稼働改善案の実施による効果の事前検討ができます。
 ・メンテ作業見直しによる効果
 ・段取り効率による稼働率向上への効果
 ・局所改善によって得られる全体工程への効果

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シミュレーションとスケジューリング(製造指示)の連携

シミュレーションは様々な制約を考慮して生産計画を行うので、シミュレーションによって出力された生産計画をシミュレーションの想定通りに実行できた場合に、最適な計画であったと言えます。そこでシミュレーション結果を実現するために、シミュレーション上での設備へのロット仕掛け順を作業指示として提供することで計画精度を向上させることが可能です。

工程管理システムの持つ仕掛ロット情報や装置状態のデータを連携し、スケジューリングを行うことでより計画精度を向上させることができます。

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■購買部門の方へのご提案

材料在庫管理

材料の在庫とシミュレーションによるものの流れの予測データを基に、部品表を活用した材料の使用予測が可能になり、資材の適切な購入タイミング、購入量の計画に役立てることができます。

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◎まとめ

いかがでしたでしょうか。シミュレーションから出力される予測データを用いることで、計画部門から現場部門の様々な改善に役立つデータを見える化できることがわかりました。
参照するデータは、各部門により異なりますが、それぞれの改善が他部門へ与える効果、影響を同時に検証することの重要性も分かりました。

本ソリューションを活用することで、計画部門から現場実行部門の様々なデータを同一時間軸で検証することが可能となり、従来の経験や勘に頼った属人的な意思決定システムを、各部門のデータ、知見を連携したデータを活用した意思決定システムに改善することが可能になります。

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* Tyecin株式会社:生産能力シミュレーターManSimの開発・販売
http://www.tyecin.co.jp/