電子部品における製品開発時のデータ活用

ビジネスディベロップメント事業本部 営業推進グループ 間宮

製品開発時にはどんなデータ活用が必要とされているのでしょうか?

もっとストレートに、装置データから品質特性に効くパラメータを見つけるにはどうしたら良いでしょう?

バラツキはバラツキ?

装置からデータを取得すること、活用することには困難が伴います。そこでこれまでは装置に起因するバラツキはバラツキと認め(諦め)、そのバラツキを含めたうえで特性に効くパラメータとしていました。 本当に効くパラメータはバラツキに埋もれていたかもしれません。 しかし近年では、装置からのデータも取得しやすくなり、データ解析ツールも手に入りやすくなったことから、バラツキをバラツキとして諦めずに、その中から品質に効くパラメータは何かを見つけることができるようになってきました。

具体的な方法は、バラツキを積極的に活用して品質特性値に対するモデルを作ることです。もし、多変量解析を使ったモデルで品質を予測できたならば、そのモデルの係数や重要度を見ることによって、品質に効くパラメータを見つけることができます。

多変量モデルを作ってみる

それでは多変量モデルを作ってみましょう。今回は線形回帰モデルを使ってみます。品質特性値を複数のパラメータを使ったモデル式で表すことがゴールです。モデルからは、式から算出される予測値(Prediction)と、式の係数(Coefficient)が出力されます。

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上のグラフはある品質特性値について、膜厚(Thickness), 温度(Temperature), 速度(Speed), パワー(Power), 流量(Flow)の5つのパラメータを使って作ったモデルの出力です。 予測値と実測値の相関が良いので、なかなか良いモデルです.。モデルの係数からは、その大きさによってパラメータの重要度、符号からは品質特性について、プラス方向に働くのかマイナス方向に働くのかが分かります. ここで係数の大きかったパラメータ(膜厚、パワー、温度)について、個々の散布図を描いてみます。

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膜厚とパワーは品質特性との相関が強く、多変量解析をしなくても分かる既知のパラメータでしたが、温度については単体の相関では発見しにくい多変量解析をしたことによる新たな発見でした。

モデル化のメリット

多変量解析モデルを作ることによって、重要度の高いパラメータや、これまで発見できなかったバラツキに隠れていたパラメータを見つけることできます。製品開発では、これらを知ることによって製造方法や管理方法の最適化や、プロセス全体の方向性について知見を得ることができます。

モデルができたらその先は?

多変量モデルができたらもっと活用してみましょう。今度はモデルから寄与を計算してみます. 寄与は予測値をパラメータで分解したものです。先ほどの3つのパラメータを使って寄与を計算し、実測値、予測値、寄与の3つを並べてみます。 実測値、予測値ともに平均値はゼロになるように調整しています。

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Sample ID=6とSample ID=10に注目してみると、両方とも実測値、予測値ともに品質特性値は平均よりも高く、同じような値を示しています。しかし寄与を見るとSample ID=6は温度が主要因で値が高く、Sample ID=10はPowerが主要因で値が高くなっています。このように寄与を求めることによって、個々のサンプルについて何が主要因で変動したのかが分かるようになります。

寄与を求めるメリットは?

製品開発の現場ではこの寄与を求めることで要因を分解し、なぜ目標値から外れたのかを理解すること、さらにはなぜ目標値となったのかを理解することが重要です。それは単に次の実験へのフィードバックだけでなく、そのサンプルを後工程に流すべきか、ここで廃棄すべきなのかを判断する基準になります。(なぜ? の分からないサンプルはトラブルのもとです) このように寄与を求めることにより、プロセス全体だけでなく、個々のサンプルに対しても深い理解を得ることにより、製品開発の効率化を行うことができます。

まとめ

今回は新製品開発時のデータ活用として、装置データから品質特性に効くパラメータを見つける方法を説明しました. 新製品開発ではプロセスの理解や要因分析が重要です. 多変量モデル、寄与を活用してみてはいかがでしょうか?

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