「スーパー安納いも」で種子島の未来をつくる!【Vol.5】

「スーパー安納いもプロジェクト」への現場の期待と現在の取り組み

INTRODUCTION

濃厚な甘みで根強い人気の「安納いも」。よりおいしい安納いもを安定的に生産し、たくさんの人においしく食べてもらう。それをブランド化することで、産地である種子島の未来を守る。そんな「スーパー安納いもプロジェクト」に共同で取り組む京都大学と種子島をYDCはサポートしています。

そのプロジェクトの取り組みをお伝えしてきた本コラム、Vol.1~3は『研究者』である京大チームと『スポンサー』であるYDCの取り組みについてご紹介しましたが、Vol.4からは『生産者』の代表として有限会社西田農産の代表取締役 西田春樹様、『生産者と研究者を繋ぐ』西之表市役所 濱尾大悟様、そして安納いもを世界へ広めるための『マーケティング』を行う株式会社ゼウスクリエイトの代表取締役CEO 山中政幸様、企画事業部ディレクター 佐藤健郎様にもご参加いただき、プロジェクトへの想いや地元の反応を伺いました。

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非破壊検査やおいしい焼き方について、現在までにどのようなことが明らかになっているのですか?

加納教授 私は安納いもの「非破壊検査システム」の確立を継続して行っています。生のいもを検査することで、焼いもの味まで判定できる方法を試行錯誤しているところです。生のまま食べるフルーツだと糖度を測ればいいのですが、いもの場合は焼いたときに甘くなるかどうかを予想することになるので、すごく難しいんですよね。現在は味の予測モデルを作るため、データを蓄積しています。定期的に西田農産の西田社長からおいもを送っていただいて、根気よくデータをとっています。

また、これまでは「蒸しいもの糖度を言い当てる」ということに力を入れてきたんですけれども、それと並行して「焼きいものおいしさ」を数値化する研究も進めて行こうとしているところです。甘み・ねっとりしっとり感・パサパサ感・ホクホク感など、焼いものおいしさを左右する項目を作って官能試験を行い、データを蓄積してモデルを作るという流れです。そうしていくことで、生のいもの状態でも焼いたらどうなるかを判定できるようにしたいんです。来春にはモデルができてくるかなと思います。

中川教授 私たち農学部の方では、「おいしい焼きいもの焼き方」に関して研究を進めています。安納いもをオーブンで焼いたときに、加熱する温度や風のまわり方、焼く時間によって出来上がりが左右されるのですが、それを計算で導き出すのが最終的な目標です。現在はモデルになる式を立てて、それがパソコン上で計算できるように調整し、きちんと動作するのか検証を続けています。こちらも試行錯誤ですが、きっと答えは出てくるはずです。

西田農産代表取締役 西田様 科学的なことはわかりませんが、安納いもを育ててきた経験上、色と味に関係性を感じているんです。今後さまざまな色のいもを研究用にお送りしますので、ぜひ役立ててほしいです。1日も早く現場でこのシステムが稼働するよう願っています。

栽培条件の「電子化」はどのように進めているのですか?

西之表市役所 濱尾様 安納いもの農家さんが、栽培に関する情報を記しておく台帳というものがあります。いつ植えつけたのか、どんな農薬を使ったのか、いつ収穫したのか、いつ出荷したのかなどが記載されたものです。

加納教授 非常に細かなデータがあったんですが、それがすべて紙の手書きデータだったんですよね。種子島に行ってデータを提供していただくお願いをした時、"トラック1台分のデータがある"と聞いて正直驚きました。そこでスマートフォンやタブレット端末でデータをとってもらう相談をしたのですが、年配の方も多く、難しいといった印象でした。そんな時に西之表市役所の濱尾さんにご協力いただき、いろいろとご相談した結果、エクセルに入力したデータを提供していただけることになったんです。

西田農産代表取締役 西田様 確かに私たちはスマートフォンを使う機会は少ないです。でもこのプロジェクトに対する期待は大きいですから、できるだけのことはやりたいです。私たちは以前からエクセルでデータ入力していますので簡単に提供できると思います。

西之表市役所 濱尾様 加納先生と相談して、今年は貯蔵の期間や温度も記録してもらうようにしました。畑ごとにデータが分かるように書いてもらっています。データのとり方に関しては説明会を行うのですが、目的や方法をきちんと説明したところ、快くご協力いただけました。特に大きな混乱もなかったですね。

加納教授 今後は定期的に畑の写真を撮って、葉の色や畑の様子も情報として蓄積していけるようになると、おいしいいもが採れた時の条件が分かってくると思います。

安納いもを世界に広めるという視点から、本プロジェクトをどのように感じておられますか?

ゼウスクリエイト代表取締役CEO 山中様 私たちは、5~6年前から種子島で観光宿泊施設の運営を行ってきました。その中で種子島の未来への可能性として、農業のポテンシャルに興味を持ちました。そこで海外へのPRの一環として、シンガポールで焼きいものブースを出店したんです。安納いもと紅はるかを同じ条件で焼いてお客様に提供したのですが、安納いもの味の評価にバラツキを感じたんですよね。このバラツキの実感が、スーパー安納いもプロジェクトへの参加を決めたきっかけでした。今後明らかになる非破壊検査のシステムやベストな焼き方によって、高いポテンシャルを持つ安納いもを市場に出せるようになれば、お客様にもっと喜んでもらえると期待しています。

ゼウスクリエイト企画事業部ディレクター 佐藤様 私も実際にシンガポールに2週間滞在して、焼きいもブースの出店に携わりました。現地では"価格は高くても、体にいいものを取り入れたい"という考えが大きな潮流になっており、野菜なのに甘くておいしいさつまいもが人気です。このプロジェクトによって本当においしい安納いもが選定されれば、マーケットもさらなる広がりを見せるのではないかと思います。

ゼウスクリエイト代表取締役CEO 山中様 種子島で採れる安納いもは、甘味や旨味が他の地域のものとは違うように感じるんです。これを数値化できれば、さまざまな分野に向けて可能性が広がると期待しています。そのうちの1つが、海外進出。自信を持って安納いもを広められるようになると思います。

焼きいもブースの出店以外にも、以前にマレーシアの大型のスーパーにサンプルとして生の安納いもを送ったことがあったんです。バラツキという面で厳しい評価もありましたが、安納いも自体には非常に興味を持ってもらえているようですので、品質安定に関して1日も早く答えが出ることを祈っています。

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