「スーパー安納いも」で種子島の未来をつくる!【Vol.3】

どうすればおいしい焼きいもになる?地元と一緒に安納いもを全国へ!

INTRODUCTION

濃厚な甘みで根強い人気の「安納いも」。よりおいしい安納いもを安定的に生産し、たくさんの人においしく食べてもらう。それをブランド化することで、産地である種子島の未来を守る。そんな「スーパー安納いもプロジェクト」に共同で取り組む京都大学と種子島を、YDCはサポートしています。

おいもが甘く食べられるレシピはどのように研究しているのですか?

20181207imo-1.jpg

中川准教授 生のいもの中には「デンプン」が含まれていて、水と一緒に加熱すると「糊(のり)」になります。そしてこれがアミラーゼという酵素によって分解されると「糖」になり、それが甘さになる。これが焼きいもが甘くなる仕組みです。

アミラーゼというのはヒトの唾液にも含まれる酵素でおいもの中にも存在しているのですが、加熱するとどんどん働きが失われてしまうんです。つまり出来上がった焼きいもの中に「糖」がどれだけ含まれるかは、加熱することによって「デンプンが糊になる速さ」と「アミラーゼの働きが失われる速さ」の競争に左右されるんです。

これまで学生と一緒に調べてきた結果、安納いもは普通のいもに比べてデンプンが糊になる温度が低いことがわかりました。そして糖を作ってくれるアミラーゼの量が、驚くほど多いことも明らかになりました。つまり、甘さを作るパワーが強いいもということなんです。

20181207imo-2.jpg

ですがそれと同時に、アミラーゼの働きが失われるスピードも速いということもわかりました。

これらを統合すると、安納いもは普通のいもに比べるとやや速く加熱してしまってもおいしいんだと思います。けれどそのさじ加減が難しいところで、焼く温度やその時間などの条件に関しては、かなりセンシティブなおいもなのかなという印象ですね。いまは明らかになっているデータから、最適な焼き方を計算によって導き出せるようにしようと試行錯誤しているところです。すべて熱の加え方にかかっているのですが、いも1つ1つは形も大きさも固さも違います。また、使う調理器具が変わると温まり方も違うということも大きな課題ですね。

「おいしさ」はどのように評価するのですか?

中川准教授 「おいしさ」というものは個人によって異なるというのが難しいところです。おいしい・おいしくないの感じ方は、年齢によっても違うし、どのぐらい噛める力があるかによっても違うし、国によっても違う。おいしさの尺度を決めることは現実的ではないんですよね。

20181207imo-3.jpg

なのでこれからは、味のプロであるお菓子職人さんにも協力していただいて「官能評価」を取り入れていこうとしています。プロの方々においしい・おいしくないを評価していただいて、そのデータを基に味を言い当てられるようなシステムを我々で作るということを考えているんですよ。あとは今後ブランド化していくにあたっては、イメージ戦略も大切になってくるかと思います。「あの人がおいしいと言っているから、このおいもはきっとおいしいはず!」とたくさんの人が思うようなイメージキャラクターやオーソリティ的な存在がいるといいですよね。

生産・選別システムやおいしい調理方法の研究以外に、どんな取り組みをされているのですか?

加納教授 京都のお菓子屋さんに協力していただいて、「スーパー安納いもならではのスイーツ開発」に取り組んでいます。難しいのが、単なる「おいしいお菓子」というだけではダメで、「スーパー安納いもらしさが伝わるおいしいお菓子」を目指さなければいけないところ。以前、砂糖をまったく使わずに「安納いもモンブラン」を作ってもらったんですよ。安納いもらしい甘さが伝わってきて、すごくおいしいんです。ですが、普通のモンブランだと思ってパクッとたべると、あまり甘くなく思えて面食らいます。

20181207imo-4.jpg

中川准教授 小林助教 そうなんですよね。もちろん砂糖入れて甘さを調節して、一般的な感覚でおいしくすることはいくらでもできるんですけど、それだと安納いもらしさが消えてしまう。悩ましいところですよね。

加納教授 ですね。あと、お菓子職人さんたちは「安納いもは、他のサツマイモと水分の量が決定的に違う」とおっしゃっていますね。安納いもはねっとりした食感が特徴であるぶん、水分が多いはずなんですよね。焼き菓子を作る時は、その水分をいかに飛ばすかが至難の業だそうです。

種子島のみなさんの反応は?

加納教授 「スーパー安納いも」をブランド化する前に、安納いも自体の認知度を上げることを目的として、自治体と農家さんが主体となって関東や関西での安納いもの販売会を精力的に行ってくださっています。僕自身も種子島から安納いもを取り寄せて、周りの人に配ったりしていますよ。

あと、研究の進捗状況については現地でのシンポジウムでお伝えしたり、農家のみなさんに個別にお伺いして情報共有しています。今年の9月には、種子島高校の生物生産科でスーパー安納芋プロジェクトについての講義をする予定なんです。農業を専門に勉強している科で、安納いもの苗を育てて農家さんに渡すという取り組みもされているんですよ。講義でお邪魔する時に、実際に苗を育てているところも見学させてもらう予定です。

種子島のみなさんは「協力できることがあったら何でも言ってね」と声をかけてくださいますし、いろんな形で応援してくださっています。これからも地元のみなさんと一緒に、プロジェクトを進めて行きたいですね!

20181207imo-5.jpg

<Smart Eco Island Tanegashima 2018自然と共生するスマートエコアイランド >

  • LINE
  • Mail