製造業のサービタイゼーションとは?"モノ"から"コト"を売る時代へ

2021.01.22

こんにちは。YDCのサイです。

変革の時を迎える製造業。そのなかでも、とくに注目を集めるのが「製造業のサービス化」とも言われるサービタイゼーション(Servitization)です。

第4次産業革命(Industry4.0)により実現する新しい社会である超スマート社会(Society5.0)の時代においても、顧客や市場が求める付加価値を提供する企業であり続けるため重要なサービタイゼーション(Servitization)は、製造業における大きなトレンドですが、それを高いレベルで実現できている企業は数%にも満たないとも言われております。今回は、その様に多くの製造業にとって重要だが難しいサービタイゼーション(Servitization)について解説を致します。

もくじ

  1. 1.サービタイゼーションとは
  2. 2.“モノづくり”から“コトづくり”へのシフト
  3. 3.ICT技術進化とIoT時代の到来
  4. 4.サービタイゼーションに適したスマートファクトリーとはマスカスタマイゼーションが前提となる

サービタイゼーションとは

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サービタイゼーション(Servitization)とは、主に有形物(モノ)の商品を製造し販売する製造業が、提供する顧客生涯価値(Lifetime Value)最大化と、それによる企業の生産性、収益性、競争優位性の向上を目的に、モノ(商品)を売って収益を上げる事を主とするビジネスモデルから、製品を活用したサービスによる収益を上げるビジネスモデルへ転換する事を目指す「製造業の企業戦略」を示す概念のことです。「製造業のサービス化」とも言われています。


サービタイゼーション、もしくは「製造業のサービス化」は、何も新しい概念ではなく、昔からあるものですが、近年、多くの製造業が「サービタイゼーション」を自社の企業戦略に組み込む事を急いでおります。何故、昔から重要と言われていた「製造業のサービス化」を近年急いでいるのか、背景にあるものは何でしょうか。

“モノづくり”から“コトづくり”へのシフト

背景として、「モノづくり」から「コトづくり」へのシフトがあります。産業の工業化とグローバル化が進み、「モノ」を供給量が増えた事により、消費者ニーズが大きく変わりました。つまり「モノ余り」とも言われる状況に入り、「モノを所有すること」に価値を見出す人が減っている状況が続いています。一方、近年はモノを購入したことで得られる体験、つまり「コト」の消費意欲が高まっているとも考えられます。実際に「コト消費」という言葉もよく耳にするようになりました。

製造業においても、この状況は同じです。自社製品に付随するサービスを付加価値とし、競合他社との差別化を図る時代に突入していると言われています。モノをつくって売るだけの時代は終わり、今後は“製造業のサービス化”、「サービタイゼーション」というビジネスモデルが求められているのです。

ICT技術進化とIoT時代の到来

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「モノづくり」から「コトづくり」へのシフトを加速させた大きな要因として「ICT技術の急速な進化」と、それによる本格的な「IoT時代の到来」があります。

総務省が取りまとめた「令和2年 情報通信白書」によると、ICT技術の急速な進化が、新たなサービスやビジネスを登場・普及させ、世の中の仕組みや人々のマインド・行動様式を大きく変化させたとあります。今ICT技術進化の中心地となっているスマホなどの「移動通信システム」は、10年ぶりに規格が更新され、2020年3月より5G(第5世代移動通信システム)が商用開始されました。

そして、この5Gをインフラとし、今までも急成長していたIoTの普及がさらに加速していくと見込まれています。それの指標でもあるIoTデバイス数は、2020年に世界で280億台の突破を予測とあります。

IoTデバイス活用面で高成長している用途は4つ挙げられており、デジタルヘルスケア市場が拡大している「医療」、スマート家電などの「コンシューマ」、コネクテッドカー普及などの「自動車・宇宙航空」があり、そして、いわゆるIoTを活用した生産性向上を目的にスマートファクトリーが増える見込みがある「産業用途」も挙げられております。

特に、「産業用途」はIoTデバイスの用途としてデバイス数の視点で、2020年には世界で113.7億台と多く全体の約40%を占めております。そして、そのスマートファクトリーを実現するロボットや産業機器などは、日本のシェアも非常に高く、今後期待できる用途です。

この様な、IoT時代の到来は、すべての機器がスマホの様な「情報端末」となり、スマホの上にOSが入り、アプリが入り、サービスが展開される様に、産業機器やコンシューマ機器、自動車、医療に関わらず、全ての産業が情報化産業となり、サービス産業化されていくのです。そして、今まさにそのサービス化に耐えうる5Gが商用開始となり、産業用途としてのIoTデバイスを活用したサービタイゼーションが加速されると見込まれているのです。

サービタイゼーションに適したスマートファクトリーとはマスカスタマイゼーションが前提となる

前述したとおり、IoTデバイス普及数として高い比率をもつ、「産業用途」つまり、スマートファクトリーとスマート産業が挙げられております。その比率は約40%をしめており、特に従来の工場にロボットやIoT産業機器を導入する「スマート工場」を指向する製造業企業が多くあります。

しかし、もう一つのトレンドである「モノづくり」から「コトづくり」へのシフトという視点、消費者のニーズ変化に対応するために、今までの生産モデルのままデジタル化する事で本当に良いのでしょうか。ここでキーワードになるのが、製造業が目指すべき「マスカスタマイゼーション」というキーワードが重要となります。

低コストでオーダーメイドを実現するマスカスタマイゼーション

これまでの製造業にとって、「マスプロダクション(大量生産)」と「カスタマイゼーション(個別仕様生産)」は相容れないものでした。しかし、IoT技術や5Gといった先端技術の活用により、相反する生産方式の同時を高いレベルで実現する「マスカスタマイゼーション」モデル確立の実現性を高めております。

マスカスタマイゼーションは、製造業における「マスプロダクション」と「カスタマイゼーション」をかけ合わせた生産システムのことです。個々の顧客ニーズを満たすオーダーメイド品を低コストかつ短納期で生産。ただしその生産効率はマスプロダクションレベルという “IoT時代のモノづくり”の形です。

製造業のサービス化に欠かせないAIとIoT

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つまり、これからの製造業の設備投資、新たな工場設立などの大きな投資するにあたり、スマートファクトリー指向が前提となりますが、その際に従来の生産モデルのままでなく、マスカスタマイゼーションモデルに変革し、その生産モデルを前提とした設備や工場設立などの投資が増えると考えられます。スマートファクトリーとは、AIやIoT、蓄積したビッグデータにすることで、製造・販売以外のサービスを提供できる先進的な工場のことです。

たとえばセル生産方式の工場がスマートファクトリー化すると、製造ラインを自由に組み合わせ、かつIoTと水平統合が行われることによる「ダイナミックセル生産方式」が実現できます。ダイナミックセル方式は、製造コストの削減と納期の短縮が期待できます。これにより、小ロット生産へのハードルが大きく下がります。同時にこれは、マスカスタマイゼーション実現への道筋ができることでもあるのです。

スマートファクトリーがもたらした変革の先にあるサービタイゼーション

マスカスタマイゼーションを実現するスマートファクトリーは、製造現場に大きな変革をもたらします。それは、商品の製造ではなく、販売後まで続きます。

たとえば、モノづくりが専門の製造業では珍しい、保守点検サービスの提供。自社製品にセンサーを内蔵しIoT化することで、販売後の遠隔稼働監視や予兆保全などが可能になります。販売製品の故障・トラブルのリスクを軽減できるのです。

また、顧客側からすると「今すぐ修理にお伺いします」「そろそろ交換時期が近づいています」などと、販売代理店ではなく、“製造元から”アナウンスが来るわけです。

この“体験”をサービスとして提供し、自社製品に付加価値を与えるのがサービタイゼーションの本質。今後さらにサービタイゼーションの理解が深まるにつれて、業界全体の競争力が高まり、サービス指向のモノづくりが当たり前になると考えます。

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