【製造業の技術伝承】高齢熟練者の再雇用で気をつけるべきポイント

ビジネスディベロップメント事業本部 第一営業部 佐々木

公的年金の受給開始年齢が60歳から65歳へと段階的に伸びているとともに、少子高齢化が進む中で労働力人口が減少する時代を迎えています。
そのため、労働力供給を増やすことは重要な課題であり、その有力な供給源として高齢者が期待されています。
特に製造業において顕著に現れており、定年を迎えた多くの熟練者が再雇用でこの課題の解決を図ろうとしているのですが、単に再雇用で雇用期間を延長しただけではこの課題は解決できない、という企業も散見されるようになりました。
要するに、再雇用で生まれた時間をこれまで通り仕事をしてもらうのではなく、熟練者の能力を十分に発揮できる仕組みを整備することが必要となっています。

熟練者を活用する際には役割の見直しが重要!

一般的に、再雇用となった熟練者は定年前と比べて賃金が大幅減となっているケースが多いでしょう。
それにも関わらず、単に雇用契約の期間が伸びただけで、仕事配分・処遇等の再調整が適正に行われないケースが見られます。

この場合、以下のような課題が新たに生まれてしまいます。

再雇用時の新たな悩み

    1. 60歳をゴールに定めていただけに緊張の糸が切れてしまうこともあり、再雇用者のモチベーションが低下
    2. 業務内容・量や責任が定年前と同じままとなっている事による賃金とのギャップが発生
    3. 組織の世代交代の遅延・停滞

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上記課題を解決するためには、再雇用者の特性や能力に合わせて役割を再定義することが重要で、
その定義における選択肢としては「熟練者の技術伝承」「人材育成」という重要な役割も挙げられます。

とは言え、熟練者の役割を再定義するのも難しい

いざ「熟練者の役割の再定義をしよう!」と言っても、それを簡単には行えない背景もあります。
その理由の1つとして「多くの製造業で挙げられるのが後継者の育成が十分にできておらず、業務の属人化が起きているケース」が挙げられます。
例えば、定年退職となる技術者にしか設計ができない製品があった場合、退職に伴い企業は熟練ノウハウを喪失し、
その製品の設計変更や後継機種の設計ができなくなってしまいます。
そのノウハウを維持するために、再雇用者自身は早く引退したいと考えているにも関わらず、
企業側の強い要望により働かざるを得ない状況になっているケースもあります。
また、特注製品が多い事業・部門では特にこの傾向が顕著に現れていると感じます。
このようなケースでは、多くの場合は課題の認識は持ちながらも、目先の業務をこなす事で精一杯です。
ただ、再雇用後もこれまでと同様に設計業務を担当させてしまうと、定年時に先送りした、技術の喪失という課題が再雇用契約の終了時に再度浮上してしまいます。
そのため、課題の根本原因となっている属人化を再雇用期間中に解消する必要があります。

ポイントは熟練者に負荷をかけず効率的に伝承する仕組みづくり

このような背景を踏まえて、熟練者の技術伝承の妨げとなっている「属人化」を解消するには、
再雇用者の頭の中や個人で保持している情報を、あまり負荷をかけない形でスームズに可視化・形式知化することが重要になります。
この際、可視化・形式知化した資産を組織の共有知として活用できるようにするため、
デジタル化・体系化が可能な仕組みを構築することが重要になります。

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熟練者の再雇用は技術伝承実現の最後のチャンス
技術者の傾向としては、技術伝承と反して現役時にはノウハウを共有せずに抱え込む傾向があります。
それは自分にしかできない領域を作り、立場を確立したり、未経験領域の新たな仕事が割り当てられる事を回避しようとしたり、自分が苦労してきた事を簡単に教えたくはない、通常業務をこなす事で精一杯等、要因は様々です。
このマインドによって技術伝承が実現できないまま、技術者が定年を迎えてしまった企業がたくさんあります。
それが、雇用期間の終わりが見えてくることによりこのマインドが大きく変化します。長くお世話になった企業や一緒に仕事をしてきたメンバーに貢献したい等、気持ちの変化が現れてくるのですが、ここが技術伝承を実現するチャンスです。
このタイミングで再雇用と合わせて、技術者の業務負荷を軽減する仕組みを取り入れ、技術伝承を行いやすい環境を整える事が技術伝承への近道となります。

ワイ・ディ・シーでは、効率的な技術伝承を実現のためのコンサルティングやソリューション提供等、様々なニーズに合った課題解決が可能です。
技術伝承でお悩みの際はぜひお声かけください。

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