グローバル・サプライチェーン管理とは? Vol1

2017.11.16

ビジネスソリューション事業本部 古田

グローバル化したサプライチェーンの管理に求められるもの

先ずは日本国内の問題に視点をおき、改めてグローバル企業とはどんな企業なのかを考えてみたいと思います。一般的にグローバル企業といわれて思いつくのは、トヨタ自動社、日立製作所、キャノン、日本航空のような優良大手企業でしょうか。

しかし、現実的には多くの日本企業はグローバル企業といっても過言ではないでしょう。その根拠として過去の事例に目を向けると、東日本大震災後に起こった北米・ヨーロッパにおける製造部品(高機能部品)の調達不良の発生が記憶に新しいでしょう。

この事実から、グローバル企業とはどういった企業かを考える必要があります。被災された企業の経営陣も自社をグローバル企業とは思っていなかったのではないでしょうか。

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その理由としては、「企業規模が決して大きくない」「海外に拠点など持っていない」「取引しているお客様は、日本企業(日本を起源とした、日本に本社がある企業)しかない」と言った理由によるものと考えられます。

これらは、その製造部品の調達担当者が最終的に造られる製品が何で、どういったお客様が使われるかを伝えていない事が原因であると考えられます。

 改めて、グローバル企業を広い意味で定義してみました。国際的な法規制・制度遵守の視点から定義するとグローバル企業とは、国際的な法制度・規制の対象となりうる商品や構成部品の製造販売。もしくは、国際的な法制度・規制の対象となりうる商品や、構成部品の製造に必要な部材の製造販売を行っている企業であると定義できるでしょう。

 日本企業の大半(特に製造業)は、外国資本を含むグローバル化したサプライチェーンを担っていると言えます。

 グローバル調達におけるサプライチェーン管理の課題は、

    1. 調達担当者がサプライヤに対し「最終的に造られる製品が何で、どういったお客様が使われるか」を伝え「国際的な法規制/制度の遵守を行わせるか」にあります。

次に、海外現地法人のサプライチェーン管理における課題について考えてみます。

サプライチェーン管理対象となる海外現地法人数が、2017年度には8,000を超え、売上80兆円を超える見通しとなっています。

実情を見ると、急速な海外進出により海外現地法人に対する国際的な法規制・制度の管理は、日本版のコピーになってしまっているようです。問題は、日本の本社が関与しない第3国間の調達が現地法人間で進み、20%を超える貿易量となっていることです。この数値は、日本国内も含め工程分業が50%を超えることから、今後いっそうその比率が増加すると考えると、海外現地法人の実情に見合ったサプライチェーン管理基準を設けるべきでしょう。

対策のひとつとして、海外現地法人にも「法務」「環境」「調達」「輸出審査」といった組織をつくり対応する方法が考えられるが、日本本社の統制から切り離してしまっては間接コストばかりが膨らんでしまいます。やはり、企業統治・統制の基本原則に従い日本本社に「海外法務」「海外環境」「海外調達」「輸出審査」といった部署を設け、コンプライアンスの徹底を図る必要があります。

ここでのサプライチェーン管理の課題は、下記が考えられる。

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    1. 「海外法務」「海外環境」「海外調達」「輸出審査」といった部署の整備
    2. 工程分業に対応した、生産設備・能力のシェリング体制の構築
    3. 環境対策(リサイクル等)に対応した、モジュラー化した設計CADシステムの構築

次に、サプライヤ管理として何を行うかです。これは、記載するのは容易ですが実施するには「思考ロジックの転換が必要」となり、転換には下記の対策、対応が必要となります。

    1. 1. サプライヤの品質不良分析(コスト、品質・安全性を含む)
    2. 2. サプライヤの労働環境対策(人権問題も含む)
    3. 3. サプライヤの環境対策
    4. 4. サプライヤの公正取引・倫理対応(下請法の遵守など)
    5. 5. サプライヤのリスク管理対策
    6. 6. サプライヤの情報セキュリティ対策
    7. 7. サプライヤの社会貢献(環境対策と重複する場合もある)
    8. 8. 取引先、部品・図番コードなどのグローバル統合

上記は、一般的(グローバル)なCSR活動で示されている指針です。世の中にあるソリューション、サービスで解決できる課題もあるでしょうが、自助努力が必要な課題大半をしめます。

また、「思考ロジックの転換が必要」と記載したのは、「見える化」から一歩踏み込んだ「見に行く化(?)」といった対応が、思考ロジック転換実現に向けての重要な鍵となります。