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部品情報管理基盤 ~辞書を準備しよう~
2020.04.17
初めまして、本記事担当のノリスケです。
今回は、「部品情報管理基盤」の一つの入り口として、辞書の準備について紹介していきたいと思います。
もくじ
- 1.はじめに
- 2.分類と属性を挙げてみよう!
- 3.なぜ辞書が必要となるのか?
- 4.国際標準テンプレートを利用しよう
- 5.まとめ
はじめに
皆さんが社内外に散在する情報から必要な情報を素早く的確に収集することができたら、業務や作業の効率化に繋がるのではないでしょうか?意外と知られていない辞書を利用した部品情報管理が、少しでも皆様の仕組み(基盤)の中で活かせるヒントになればと思い書かせて頂きました。
分類と属性を挙げてみよう!
この部品は、何と呼ばれているでしょうか?総称としては、「ねじ」になりますが、「ねじ・ネジ・螺子・螺旋」、「screw」、「vis」、「ボルト」など同じ日本語でも表記や言葉の違いが出てきます。認識は同じ部品でも、それを特定する呼び名の違いで認識できない場合があることを覚えておいてください。

それでは、「分類」と「属性」を振り分けて見ましょう。下図の部品は、どのような分類に属するものでしょうか?ねじだから「ねじ類」と思うかも知れませんが、「ボルト類」・「ナット類」・「アンカー類」など実物は一つでも分類は様々です。また、「材質」、「寸法」、「形状」と言った属性については、どのように定義づけられているでしょうか?
一つの部品でもバリエーションが豊富であることが分かります。これがネジのような単純な部品でなく、複雑な機械部品や電子部品であればバリエーションは計り知れないものになります。人が一つの部品を共有認識するためには、付帯情報に対するルールが必要です。
なぜ辞書が必要となるのか?
それでは、「ねじ」を一般的な辞書で調べてみてましょう。
<検索結果>
・螺子・捻子・捩子・螺旋
・物をしめつけて固定するのに用いる円柱状の用具
・円筒や円錐の面に沿って螺旋状の溝を切ったもの
概要は理解できますが、当然部品を同定することはできません。同定するためには、絞り込むための条件が必要です。その一つ目が部品の分類化、二つ目が部品の属性になります。
以下は「ねじ」を体系的に分類化し、部品の技術属性を挙げた一例です。

上記のような辞書があったらどうでしょうか。 「部品の技術属性」に基づいて属性値が紐づいていれば、部品の同定が可能になります。つまり、部品を同定するためには、体系的に分類化された辞書と技術属性に紐づく属性値(コンテンツ)が必要となるわけです。但し、このような辞書をゼロから設計・組み上げるとなると膨大な時間とコストが掛かってしまいます。また、前章でも触れましたがルールが統一されていないと管理が煩雑となり運用には耐えられません。
国際標準テンプレートを利用しよう
そこで国際規定に基づいて作成された辞書が利用できたらどうでしょうか。
世界には、PLIB(※1)と呼ばれる国際規定に基づいて作成された辞書が存在します。この辞書(国際標準テンプレート)を土台にして構築できれば、一から辞書データの設計をすることなく、辞書データベースを構築することが可能になります。
※1:ISO 13584 Parts Library(以降、PLIBと記載)は、部品ライブラリデータ(部品仕様、技術情報など)交換に関する国際規定です。
広く知れ渡っている国際標準テンプレートとしては、欧州の「eCl@ss」になります。日本では、電子情報技術産業会(JEITA)や日本電機工業会(JEMA)が辞書の開発を行っていると聞いておりますが、最新の状況はどうでしょうか。
下図は、国際標準テンプレート「eCl@ss」の一例です。

出展元:「eCl@ss」https://www.eclasscontent.com/
まとめ
今回の入り口としては、部品を体系的に「分類」し、「辞書」で言葉の揺らぎを解消し、「属性」で部品を同定するための新たな情報管理基盤として、辞書に関わる内容を中心に説明させて頂きましたが、少しでも参考になれば幸いです。
次回は、もう一段掘り下げてIT(業務システム)から見た「辞書」と「コンテンツ」について触れていきたいと思います。