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2024年問題と通信切替のススメ②
インターネットEDI移行へ向けて
SmartSCM事業本部 ICT基盤ソリューション部 モリ
INS通信の移行方針の策定にあたって、基本的な考え方となる「インターネットEDI移行の手引き」が一般社団法人 情報サービス産業協会(以下「JISA」という)より公開されました。
https://www.jisa.or.jp/it_info/engineering/tabid/2518/Default.aspx(2018年5月22日)
本コラムでは今回は、2024年問題と通信切替のススメに関連して、インターネットEDI移行へ向けた移行ロードマップ・作業ステップをご紹介いたします。
1.移行ロードマップとは
INS網廃止のリミットから計算される作業タスク及び作業スケジュールを指します。各業界、取引先様ごとに作業スケジュール・
移行方法は異なるため、各社でロードマップを作成する必要がありますが、作業ステップ自体は各社共通となります。
このあとに紹介する6つの作業ステップを漏れなく考慮することにより、スムーズな移行を実現することが可能です。
2.インターネットEDI移行へ向けた作業ステップ
下記は、JISAから発表されている「移行に向けたロードマップ」です。
出典:インターネットEDI移行の手引き V 1.0.0(JISA EDIタスクフォース)
こちらに記載されている作業ステップについて、解説いたします。
① 対応方針の検討
現在、各業界ではそれぞれの対応方針の検討が始まっています。
自社の方針を検討するにあたり、まずは、業界の方針や取引先様の状況を確認することから始めます。
方針は様々な観点から検討しますが、EDIという観点でみると大きく以下の2つに分けることができます。
1.既存のフォーマットを利用し、インターネットプロトコルを利用する
<代表的なインターネットプロトコル>
・EDIINT AS2:HTTPとMIMEをベースとしてセキュアなデータ交換が可能
ウォルマートをはじめとした大手企業による採用が多い
・OFTP2:欧州の自動車業界を中心に利用されている
・ebXML MS:アジアを中心に、様々な業界で利用されている
・JX手順:日本独自の規格。JCA手順の後継プロトコルとされているが、流通業界以外の業界も採用している
・SFTP:企業内や企業間でのファイル交換に幅広く利用されている
2.各業界の標準メッセージの利用
・ANSI X.12:米国規格協会
・UN/EDIFACT:行政、商業及び運輸
・流通BMS:流通業界
・EIAJ:電子機械工業界
② 自社EDI環境の棚卸
自社のEDIが関係するシステム、及び契約や運用まで詳細な調査を行います。
例えば、INS回線の使用有無や通信業者との契約、通信機器の接続状況等、どのような環境や構成で動いているのか
確認することが重要です。
③ 接続先との調整
全ての接続先と調整をとりながら、対応方針について意見交換を行います。
各業界の方針、接続先のスケジュール等、お互いに理解をしながら進めることが重要です。
例えば、以下のような話し合いが事前に必要となります。
インターネットEDIへ移行するにあたり、運用方法の見直しが必要になります。
従来は、比較的簡単に[発呼/着呼]を選択できましたが、インターネットEDIの場合、[サーバ/クライアント]と立場が明確に
分かれるので、環境や運用の見直しが必要です。
④ EDIシステムの準備
現在稼働中のシステムとは別に、インターネットEDIのシステムを準備します。
従来は、電話網で通信を行っていたため、通信機器が外部とのやり取りを行っていました。インターネットEDIでは、
サーバ自体が外部ネットワークに接続されるため、ネットワーク体系が異なります。また、対応するプロトコルが
異なるため、インターネット系プロトコルに対応するシステムの改修が必須となります。
例えば、以下のような対応が必要になります。
・外部からの侵入や攻撃を防ぐセキュリティ対策
・必要なプロトコルが実装されたEDIパッケージの準備、実装、テスト
⑤ インターネットEDI等への移行期間
テストで十分確認がとれた接続先より本番移行をしますが、一定期間は新旧両方のEDIシステムを維持しておく必要があります。
⑥ 移行予備期間
2024年1月から開始されるIP化後も、2027年頃までは従来型EDI環境の継続利用は可能となっています。
しかし、大幅な遅延の発生によるリスクも考えられるため、
2024年からはあくまでも予備期間とし、2023年までに移行を終えることをオススメします。
3.おわりに
今回はインターネットEDI移行へ向けた作業ステップと注意点についてご紹介しました。
移行についてのお悩み等ありましたら、お気軽にご相談ください。