迫る消費増税、軽減税率対応はお済みですか?

ビジネスディベロップメント事業本部 棚谷

■消費増税は実施される?

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ご存知の通り、今年の10月には10%への消費増税が予定されています。民主党政権時代の2012年8月に、民主、自民、公明の3党の賛成により消費増税法が成立しています。2014年4月に8%となり、2015年10月には10%へ引き上げられる予定でしたが、自民党政権へ移行後、安倍首相の景気判断により二度の改正法案が提出され、2019年10月に延期されました。今、日本の景気動向は米中の貿易摩擦や中国経済の失速等々を受け、製造業を中心に後退の懸念が多々ありますが、本コラム執筆時点で再々延期の政府発表はなされていません。

また、5月には増税分を財源とした幼保無償化法案なども成立し、増税は不可避との見方も強まっています。

■軽減税率

10%への消費増税と合わせて、日本にも消費税の軽減税率制度が導入されます。簡単に言ってしまうと、以下の2点について消費税率を8%に据え置くという制度です。飲食料品については、外食か否かが大きなポイントになります。

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・酒類及び外食を除く飲食料品

・定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞

しかしながら、消費増税はこれまでに経験のある日本ですが、軽減税率は初の試みとなります。まずは制度を理解し、制度施行に向けて万全の準備が必要となります。

軽減税率制度についての詳細や必要な対応は、政府発表の各種情報をご確認ください。

・国税庁HP:消費税の軽減税率制度について
 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/index.htm

・政府広報オンライン:特集 - 消費税の軽減税率制度
 https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/keigen_zeiritsu/

さて、日本では初の軽減税率と書きましたが、海外では多くの国で既に導入されています。
以下は一例です。

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世界幸福度ランキング(2019年版)でトップはフィンランドですが、標準税率は24%と高く、軽減税率も14%と高く設定されていますが、その差は10%になっています。日本の差は2%と比較的軽減度合いは低く設定されています。
また、各国の制度は様々で、同じお菓子でもビスケットは軽減税率、チョコレートは標準税率となるケースや、世界3大珍味でもフォアグラとトリュフは標準税率、キャビアは軽減税率など、国によっては複雑な区分となっています。ちなみに、日本でも軽減税率の是非が議論されていた際、世界3大珍味は贅沢品ではないかとの議論があったと記憶しています。

■見逃しがちな特殊なケース

食品について軽減税率対象かどうかを判断する議論として、有名なところではイートインがありました。イートイン利用は外食扱いとなり、軽減税率対象外となるものでした。これについては、レジでの精算時にイートイン利用有無の申告を促す掲示を行う方針を大手コンビニ各社が発表しています。

その他に判断の難しいケースをいくつかご紹介します。

・映画館のポップコーン
 映画館の売店で購入したポップコーンを、映画を観ながら座席で食べる場合は軽減税率"対象"となります。
 売店が用意しているベンチ等で食べる場合は、"対象外"です。

・イチゴ狩り
 イチゴに限らず果物狩りでは、その場で食べる場合もあれば自宅に持ち帰る場合もありますが、
 全て軽減税率"対象外"となります。

・自動販売機の設置場所
 路上に設置されている自動販売機は軽減税率"対象"です。
 オフィスや公共施設などの休憩スペースに設置されている自動販売機は、軽減税率"対象外"となる可能性が高いです。
 ※休憩スペースで飲食してもらうという意図が優先される可能性があります。

・贈答用食品
 贈答品が食品であった場合、贈答用であっても食品自体は持ち帰り用のため、軽減税率"対象"となります。
 追加で有料のラッピングを行った場合は、ラッピング代は軽減税率"対象外"です。

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■最後に...

既に軽減税率対応をされている企業のご担当者様には、耳にタコが出来る内容であったかと思います。しかしながら、例示したような特殊なケースが他にもまだまだ存在するかと思います。いま一度、対応が十分なされているか、振り返る機会としてお読みいただけましたら幸いです。サプライチェーンのゴールの一つである、小売の現場。そこで法制度に正しく則り、サプライチェーンが無事に完結することを願っております。そして、自身もイートインを使う場合には正直に申告する、良識のある消費者でありたいものです。

出典

・財務省HP 「消費税の軽減税率制度等に関する資料」
<https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d02.htm> (2019年6月6日)

・消費税・軽減税率情報Café 「世界の消費税率と軽減税率制度の比較」
<https://www.keigenzeiritsu.info/article/18372> (2019年6月6日)

・消費税/軽減税率情報Café「自動販売機の飲み物は軽減税率の対象になる?」
<https://www.keigenzeiritsu.info/article/18559> (2019年6月6日)

・Monbre「【消費税10%】テイクアウト購入してイートインしてしまった時どうなる?」
<https://mondo-libre.com/takeout/> (2019年6月6日)

・国税庁「よくわかる 消費税 軽減税率制度」 (平成30年7月)

・World Happiness Report「World Happiness Report 2019」
<https://worldhappiness.report/> (2019年6月6日)

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