運ぶのは荷物だけじゃない、これからの物流

SmartSCM事業本部長 山本

近年、TVのCMや、電車広告等で

「物流」

のキーワードを良く目にします。
というか、自分が「物流」を意識しているので、目につくように感じているのかもしれません。
とあるTV-CM「和菓子屋の父」。
娘の結婚式を欠席した父親から式場に届けられた「一つの荷物=父親の作った和菓子」。
父親の思いを感じ、花嫁さんからのあふれる涙。
最後に一礼するドライバー。この時、ドライバーはどんな事を考えていたのだろうか。
以前は配送車やドライバーが軽快に走り、頑張っているシーンだったのが丸っと変わり、
配送業をやっている事の意義や、配送を依頼する人、受取る人のそれぞれの思いも一緒に配送しているんだ。
みたいな事を感じさせる、とても新鮮なTV-CMです。

物流業界は、そもそも業界内で差別化が難しい

と言われています。
小口の配送が増え、製造メーカの生産拠点は国内から海外となり、大口での定量的な物流のニーズは減少してきています。
サービス向上。イメージアップは必須ですが、どこで差別化をするか。業務改善、コスト削減でしょうか。これは、一時期の製造業が語っていた内容に近いですね。

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単に、モノを運ぶと言っても、モノを作るから、手元に運ぶまでに様々な工程があります。
モノ作り、検査、梱包、搬送、倉庫入荷、倉庫保管、倉庫出荷、店舗・お客様宅への配送。
また、その工程は、多くの企業と人が関わっています。
製造業でのモノづくりについては、IoT、AIを使った品質管理、生産管理など人手不足の課題解決、生産性向上のために業務改善が進んでいます。
物流についても、同様に、工程(導線)の見直し、リソース計画、モノ移動の効率化や、多様化していくビジネス変化に対応していく為のシステム導入などが行われ、大きく進化が進んでいます。
私も最近、気づいたのですが、物流倉庫の業務・作業工程は、製造業の生産工程とも同じと考えられるのではないか。また作業工程に紐づく課題、解決策も似ているのではないか。

① ライン・工程の改善

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製造業では、各ライン工程の設計時に、今までの経験値を基に工程設計シミュレーションなどを使ってデザインされたりしています。その他、マザー工場をベースに現場の改善を反映させ、成熟したラインを作り、工程能力を評価し、他工場への展開などもやられているところがあります。
物流・倉庫業も、棚の位置、搬送ルート、人の配置など同じように、ムダの無い、モノの動きをシミュレーションし、設計していると思います。
だだ、製造業では稼働後の搬送履歴、工程情報が、センサ、PLC等から生産ラインの情報を収集して、その結果を分析し、改善に繋げられているかと思いますが、物流・倉庫業については、まだまだ情報収集、情報活用に、改善の余地があるかと思います。
搬送系のロボット化は進んできていますが、まだまだ人に頼る工程はあり、人の動き、能力などを数値データ化することにより工程評価に活用できると思います。
作業指示書についても、製造業は、紙から電子かんばん、RFIDなどが導入されています。これは人が移動せず作業する事での改善策ですが、物流・倉庫業などは、モノも人も動く事が多く、持ち歩けるハンディーターミナル、タブレット、スマートフォン等が活用されていますが、難点は手がふさがる事です。
ここは小型カメラ、ウェアブルメガネなどの活用も出てきました。視線データ解析も進んできているかと思います。両手が使えると言うのは大きな改善ポイントになりそうです。
また、これは自社、取引先双方の業務にも言える事ですが、調達先と連携した受入れ、検品、納品までのプロセス改善など自社だけではなく、取引先含めた業務改善についての、気づきや問題を共有することでも大きな改善効果が出せると思います。

② 需要対応による改善

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製造業では生産計画を作成するにあたり、営業情報、季節変動イベント開催などの状況を、PSIシステムなどを導入して需要予測し、製販会議などの中で月次の生産量を調整し、工場への月次生産計画を数カ月先まで通知します。また、品質に関する分析を行い、歩留まりを算出し、生産数を調整していきます。
物流・倉庫業も、モノの出入り量は季節変動、イベント開催などにて大きく変動します。また、需要予測により、調達先と連携した受入れ、検品、納品までのプロセス改善など自社だけではなく、取引先含め業務改善の気づきや問題を共有することで、搬送能力を上げられる可能性があります。できるだけ早く届ける事へのサービス向上にもつながります。
より精度の高い需要予測をするためには、破損、誤出荷、配送業者評価などの統計を取る事で、予測のインプット情報にもなりますが、製造業の様にデジタル化した情報は、多く揃ってなく、分析情報のインプットは、まだ少ないのではないでしょうか。

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ここは、最新のITを使って情報収集が可能であり、分析を行う事での大きな改善効果が期待できるところかもしれません。
まだまだ改善ポイントはありそうです。
様々な現場データ、管理情報、OpenDataからの情報分析、物流の見える化など業務改善のヒントは出てきそうです。
最近では、「商品を探すのが大変」、「近くで販売していない」、「出来るだけ安く購入」などの理由から、実店舗での購入よりも商品サイトからの商品購入も増えています。

購入者は、在庫を確認し、信頼できる製品をできるだけ早く手元に欲しい。
そんな気持ちから、商品サイトより「ポチ」っとしているのでは。(私もですが)この気持ちに答えるために、物流・倉庫業界ではオムニチャネル化した商品の在庫一元管理、モノの最適配置、品質担保など、IT、AIを活用した業務改善が、加速していると感じています。
これからRFID、電子タグに導入よるモノへのデータ付与や、自動運転配送など更なる進化が起こる物流・倉庫業界です。
この日々進化する業界に対し、私たちは、IT、AIを活用することで、購入者が荷物を受け取った時、感謝、感動をして頂ける事の手助けが出来たら、嬉しいです。

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