製造業のデータ活用:裏に隠れたデータの特徴について

ビジネスディベロップメント事業本部 営業推進グループ 間宮

・歩留まりや品質特性改善のために、相関のあるパラメータを見つけたい (要因分析)

・稼働率改善のために、製造装置の変動や異常を早期に見つけたい (予兆検知)

上記2つは製造業の代表的なデータ活用ですが、データさえ揃えば、良い結果が得られるでしょうか? 相関解析から重回帰分析等の多変量解析まで手法は沢山あり、ソフトウェアを駆使すれば、それらしい結果になるかもしれません。しかしデータの裏に隠れた特徴を知らないことで失敗するケースが多いのではないでしょうか?そこで今回はデータの種類ごとに特徴をまとめてみることにします。

装置データ:センサーの値は製品の値にあらず

装置データを活用することは非常に価値があります。製造装置は汚れや摩耗からくる部品交換や、品種切り替えによる停止など、常に状態が変化しており、それが歩留まりや品質特性のバラツキの要因となっているからです。最近はデータの取得や連携の課題も改善され、活用が進む傾向にありますが、データが取得されても次の本質的な課題が待っています。

それは、装置データはあくまで装置のセンサーの値であって、製品が受けた処理をすべて代表しているわけではないことです。温度を例にとると、装置には温度を測定するセンサーがあり、そのセンサーの値が指定した値になるように制御されていますが、それは製品全体が均一に指定した温度になったことを示しているわけではありません。

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製品の形状、表面状態等によって受ける熱量や温度は変わります。センサーの位置も限られているので、制御自体にも空間的なバラツキがありますし、熱伝導を考えると時間的なズレも生じます。データ解析をする際はこのことを常にイメージする必要があります。

工程途中の検査データ:サンプリングってランダム?

製品不良の発生を早期に見つけるためや、装置状態の確認のために工程途中で検査をすることは重要です。各種寸法データや欠陥データ等、その場でしか取得できないデータもあります。これらはデータ解析を行う上でも、装置データと最終的な歩留まりや品質特性データの間を補完する重要なデータとなります。

ここで気を付けたいのは、工程途中の検査は、サイクルタイムやコストを意識してサンプリング(抜き取り)で行われることです。サンプリングと言えばランダムサンプリングが思い浮かびますが、製造現場ではランダムではなく、過去の不良傾向から、どんな場所をどんな頻度で測定したら良いかのノウハウに従って検査を行う傾向にあります。そこがクリティカルな場所であれば、ルールを作ってSPC管理をしたりもします。たとえば、装置立ち上げ直後の検査は、最初の3つの製品を測定する、等です。

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しかし、ルールの決まったサンプリングはそのルールから外れた部分が全く測定されず、データ解析では不利になります。ランダムサンプリングにするかどうかは悩むところです。

最終的な歩留まりや品質特性データ:何とも相関しない。選抜効果?

最終的な歩留まりや品質特性は、全数測定が行われます。データ数は製品の数だけ集まるはずですが、実際には集まらないケースもあります。それは複数の検査・測定項目があり、最初は時間のかからない簡単な測定を全数行って、不良品を廃棄してから徐々に難易度を上げた測定をしていくケースです。これを繰り返すと、最後の測定でテストされるのは、それまでの測定を全て合格した製品に限られます。つまり、最後の測定のデータはサンプル数が少なく、バラツキ(情報)も少ないデータです。

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このようなデータを使うと他のデータとの相関関係が見えにくくなります。(選抜効果) 量産工場で最初から最後まで不良品を流し、最後の測定までは行わないはずなので、この選抜効果はどこかに現れるはずです。

履歴データ:同じバッチ処理は同じ品質特性?

履歴データとは、どの製品が何時何分に、どの装置で、どんな処理をされた、という情報です。工程途中で分割される製品、逆に複数の部品が統合される製品では複雑な履歴になります。歩留まりや品質特性データの解析では、同バッチで行われた処理、空間的に近い場所で行われた処理、時間的に近い処理は、装置にイベントがない限り類似した値になる、というのが大前提なので、履歴データは重要となります。

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しかし、製品に番号がない場合や、履歴自体を取得していない等、完全に揃えるのは難しいデータとも言えます。

成功に近づくには

いかがだったでしょうか?上記のような、データの裏に隠れた特徴は現場に近いエンジニアしか解らないかもしれません。一方で現場に近いエンジニアは歩留まりや品質特性を改善するミッションではなく、データ解析の得意なエンジニアも近くにいないかもしれません。やはりそれぞれの強みを生かしたチームを作るべきと思われます。

YDCでは、データ連携や多変量解析を簡単に実現できるソフトウェアYDC SONARによる活用支援や、お客様の業種に特化したデータ解析も行っております。データ活用を推進するチームとして、是非、お声かけ下さい。

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