GPSを使わない位置情報取得を検証してみた

2017.11.15

Lab研究員 大村

今年の1月20日に東京ビッグサイトで開催された「ウェアラブルEXPO」に参加してきました。そこのIoTゾーンで出展されている企業様の資料に、とても気になる一文がありました。

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このスマートウォッチの機能として次のように紹介されていました。

業務連絡
   ウォッチ画面で簡単に、直接通信でスマホ不要

位置動作
  WifiやGPSを使った屋内外の位置検出、加速度センサーで動作データを取得

機器連携
  ウェラブルバーコードスキャナーと連携、Bluetoothタグに連動した機能切替など

屋内外の位置検出...?

以前、YDCラボの打ち合わせで「社員の誰がどの会議室にいるか、位置情報を検出してわかったら面白い!」「けど、GPSはコンクリートを通さないから難しいですよね」と話していたことを思い出しました。

出展社の方に質問したところ、Wi-Fiを使用すればコンクリートの屋内でも位置検出が可能であり、誰がどこにいるかまで把握できるとのこと。

そういえば、皆様はご自分のスマートフォンでこのような画面を見たことがあるでしょうか?

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確かに、Wi-Fiは位置情報に何らかの関係があるようです。一体どういうことなのか、少し調べてみることにしました。

■なぜWi-Fiを使用すると現在地を測定できるのか?

多くの方は、現在地情報の取得と聞くとまずGPSを思い浮かべられると思います。スマートフォンやタブレットのOSには「iOS」「Android」「Windows」などがありますが、どのOSでも位置情報の取得には、基本的にGPSを含む3つの方式のいずれかが使用されています。

1.GPS
2.セルID
3.Wi-Fi

それぞれの長所、短所などの特徴を見ていきましょう。

1.GPS(Global Positioning System)
 複数のGPS衛星の情報を使用

・長所
  誤差は数メートル程度
  もっとも多くのデバイスに搭載されている

・短所
  衛星を利用するため屋内での利用に難あり
  測位に時間がかかる

2.セルID
 携帯電話基地局の電波を使用

・長所
  電波がつながれば屋内でも測位可能
  測位が早い

・短所 
  キャリア会社との契約が必要
  精度が数kmと低い

3.Wi-Fi
 無線LANアクセスポイントとの通信を使用

・長所
  Wi-Fi設備があれば屋内でも測位可能
  精度は中程度(10〜200m)
  測位が早い
  多くのデバイスに搭載されている

・短所
  Wi-Fi設備が必要

基本的にスマートフォンやタブレットはこの3種類の方式を組み合わせて現在地を取得しているようです。だから、「Wi-FiをONにすると位置情報がより正確になる」というわけです。

■スマートフォンを使ってYDC本社内で検証

・GPSでの位置情報取得
 (赤い矢印が実際の位置)

20171110-3.png

GPSのみで社内にいると、ここまでの誤差となってしまいますが.. 
(誤差範囲が画面全体に広がっている)

Wi-FiをONにすると、

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確かに位置情報がより正確になっているようです。

■Wi-Fiでの測位の仕組みとは?

Wi-Fiを使用した位置情報の測位には、ビーコン信号が関係しているようです。

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・ビーコンとは?

アクセスポイントが自らの存在を知らせるために発する無線信号のこと(SSID、MACアドレス、電波の強さなど)です。

大まかな仕組みとしては...

1.ビーコン信号をスキャン

現在地を測位する際に、周囲にあるWi-Fiアクセスポイントから発信されるビーコン信号をスキャンする

2.Wi-Fiアクセスポイントの位置を特定

ビーコン信号を元にアクセスポイントの大まかな位置を割り出す

3.アクセスポイントからの距離を割り出す

ビーコン信号の電波の強さによって、アクセスポイントからの距離を割り出す

この3工程を経て、位置情報が取得されます。

■ビーコンの検証

「Estimote」というスマホアプリを使用してビーコンを検証してみました。このアプリは、ビーコン信号の中でも「iBeacon」を使用したもので、iOS7から標準搭載されたBluetooth Low Energy(BLE)を使用できる端末機器が2つあれば試すことができます。

・Estimoteの距離測定デモ機能の検証

1.ビーコンとなる端末、受信側の端末の両方にEstimoteアプリをインストール

2.ビーコンとなる端末からビーコン信号を発信(アクセスポイントに見立てる)

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3.受信側の端末でビーコン信号を受ける

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検知した端末をタッチすると以下の画面に遷移します。黒い点が自分の端末です。(下左図)
端末を持ったまま移動すると、数メートル単位で位置情報を検知していることがわかりました(下右図)

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4.歩き回る

端末を持ったまま移動すると、数メートル単位で位置情報を検知していることがわかりました。

今回は、GPSの位置情報取得から技術をたどり、位置情報の取得について検証を行いました。この技術を使用すれば、社内のどの会議室に誰がいるのかまでわかるようになるかもしれません。iOS7以降の端末が複数あれば、このEstimoteでのビーコン検証が可能です! ご興味のある方は、ぜひ試してみてください。