変化対応力をどのように構築していくか

2020.10.19
代表取締役社長 山本智明

いつもご愛読頂き、誠にありがとうございます。今回は変化対応力について考えたいと思います。変化対応力が一番重要だと最近は色んなところで語られるようになりました。コロナ禍がある意味黒船的役割を担ったように感じもありますが、今まで思ってはいたけれども口に出せなかったことが、ここまで世の中が変化した事から根本から各種見直そうという動きが各社湧き上がっているように思われます。

S_Column_202010_1.jpg「変化対応力」というのは言葉の意味は分かりますが、口で言うのは簡単ですが実際どのような事をすることになるのでしょうか? 変化対応力はこのように説明されています「環境の変化などに合わせて様子を変える能力」類義語は次のようなものです。

「適応力 ・ 適応能力 ・ 順応性 ・ フレキシビリティ ・ 変化適応力」

例えば、前回のコラムで記載したモジュール化は変化対応力対策とも言えます。柔軟にモジュールを変える、アップグレードする事によって、利用方法の変化に対応するとか、劣化に対して適切に対応しながら長期間の利用に耐えるとも言えます。別のコラムにはサプライチェーンの対策についても記載しましたが、柔軟なサプライチェーン網の構築は外的要因の変化に対応する対策も同様だと言えます。

組織の分野でも「ティール組織」というのが巷では流行っています。トップダウン型ではなく、目的を共有し共鳴しながら運営していくという組織です。ティール組織そのものを実践している企業はまだ無い様ですが、組織自体に変化対応能力を持たせることによって様々な問題に対処していこうという新しい考え方で興味深いものがあります。

自然災害が最近多いので災害対策でも似たような議論が白熱している様に思います。例えば、「想定外」という言葉がやり玉に挙げられて、予想出来た筈だとか、そもそも想定できないものに対しての対策は無理だとかの話があります。責任の所在もあるのでそのような議論は重要かもしれませんが、個人的には予想も大切かもしれませんが、振れ幅が大きくなっている事象に対しての対策に議論の軸足を置いた方が良いのではと思ったりします。しかし、なぜ予想出来なかったかという事への対策を言いすぎると採算度外視の対応になります。とは言ってもお金もかかるので経済合理性も必要です。よって閾値は重要ですが、閾値を超えた時の対処をディスカッションした方が建設的な気がします。

S_Column_2020110_2.jpg少し話を戻すと、大分昔にシステムを検討する分科会で基幹システムを式年遷宮方式で行っているという事を伺ったことがあります。変化対応力をつけるにはこの方法は確かに有効だと思います。式年遷宮方式というのは色々なところで記載されているので詳しくは書きませんが、この方式が1300年以上も続いているというのは驚きを隠せません。伝統を守りながらも20年に1回は再構築をするという、残すべきものと新しくするものを上手く表現したシステムには学ぶことが多くあります。

そもそもなぜ「変化対応力」を強化しないといけないかと考えると、永続的性の確保であり、なぜ永続性の確保が必要かと言えば、会社で言えば安定的な雇用の確保による安定的な生活の維持となります。

しかし、ここで矛盾が発生します。安定の維持を目的とした話になればなるほど現状維持志向が強くなり「変化対応力」が失われます。とすると、「不安定な状況」を継続する事が結果的に「安定を維持できる」という事にもなります。

例えばダイバーシティというのも変化対応力の向上に大きく寄与します。色々な人がいる事で発想が膨らみ多様性が増します。硬直化とは選択肢が減るという事もあり、色々な思想の方が多ければ発想が多くて選択肢が多くなります。しかし、意見をまとめるのは大変なので、硬直化した組織に比べれば、毎回議論の収束にはかなりの労力がかかりますがより良い解を得る可能性は高まります、この点を考えても「不安定な状況」の維持が「安定の維持」に貢献していると考えられます。

また、式年遷宮方式が良いところが20年という期間が決められているという事です。なぜ20年というのは諸説ありますが、老朽化対策と技術伝承が代表的な理由として挙げられています。個人的な感想ですが、これは何かしら自然と人間の営みに絡む法則があるのではと感じます。単純に老朽化対策だけであれば100年ぐらい持つものに変えるとか、伝承だけであれば他の方法も可能だと思いますが、20年という月日はその間で自然による劣化や社会情勢、技術、思想の変化が起こり、本来大切にしなければならないものが失われるギリギリの線ではなかったのかと感じます。要するに「安定を維持」する「不安定な状況」の限界だったのではと感じます。

再構築がきっかけになり、忘れかけていた大切にしなければならない価値観を見つめ直し再共有する。そのような儀式が人間には必要なのではないかと思います。会社運営にもしても、部門運営、S_Column_202010_3.jpgシステム運営においてもすべての事が当てはまるように思います。しかしビジネスになると、投資回収期間や減価償却期間などの概念が入ってくるので、本来見直さないといけない再構築のタイミングを見失っているのではと感じる事があります。当然使えるものは使わなければ勿体ないですし、大きな問題が無ければ再構築の必要性を感じてないかもしれません。また変更すれば直近は今より悪化する可能性もあります。

長期的なメリットがあるとしても再構築には色々な政治的圧力がかかりますので、その議論を避けるために式年遷宮では20年と固く定めて議論の余地をなくしたのかもしれません。いずれにしても「安定状況の維持」が長すぎると変更する事が更に難しくなり、どんどん硬直化します。今回のコロナ禍は良くも悪くもきっかけとしては最大のチャンスなので式年遷宮方式を見習い色々な制度、仕組みを見直すサイクルを検討しては如何でしょうか?

皆さんはどのように思われますか?

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