メイドインジャパンの売り方を考える

2020.06.22
代表取締役社長 山本智明

いつもご愛読頂き、誠にありがとうございます。

今回はさすがにコロナ関連の話は止めようと思います。WITHコロナとか色々キーワードが出ていますが、一定期間付き合って行かなければならないのはもう十分良く分かりましたので、コロナ対策はありますが前向きにビジネスについての話題に戻して行こうと思います。さて、自粛期間中に家族がYouTubeを見る事が多く、たまたま鉄道の話を娘がよく見ていて再認識しましたが、日本のインフラ輸出は海外でも評価が高く、そのような仕事をしている方を誇らしく感じました。

S_Column_202006_1.jpg現在コロナで経済問題が大きく取り上げられており、当然最初は飲食、観光、エンタメ関係のニュースが大きく報じられていましたが、徐々に自動車含めその他製造業にも暗い影を落としてきています。製造業の皆さんに向けた内容を主に記述しているこのコラムでは、先行きの暗い話が多いこういう時期だからこそ元気が出る話題にしたいと思っています。

例えば前述の鉄道においては日立のイギリス展開や、2019年4月に開業したジャカルタの地下鉄MRTJ、2021年に開業予定のベトナム・ホーチミン市の地下鉄など、鉄道関係においてはメイドインジャパンがジワリと広がっているように見受けられます。記事の中では品質やプロジェクト計画及び運営について日本人の誠実な対応についての評価が多く寄せられているようです。その他にはアメリカのテキサス州に日本の新幹線を導入する計画も持ち上がっており、個人的にはとても嬉しく思います。私たちは普段からとても発達した鉄道網や新幹線の高速鉄道に慣れてしまっていますが、コロナの前に膨れ上がったインバウンド需要での旅行者の印象を見ると日本の正確な鉄道運営や清潔な環境、技術の素晴らしさについて語っている人はとても多く、外国人からの発信により、日本の良さを再認識するという事も以前より増えている様に感じます。

そういう意味では、海外の方が日本で経験した鉄道環境を自国へ導入したくなる気持ちも理解できます。

鉄道においてはかなり大きなノウハウの集合体なので、この良さが海外の方にも理解して頂いているという事は日本のモノづくりとサービス設計は世界で通用するという事ではないでしょうか?

サービスについては人が行う事なのでおもてなしに代表されるような運営をそのまま展開するということは国民性の違いもあり事業主に受け入れられるかどうかは別の問題があるように思いますが、品質や正確な運営、衛生面等は日本の価値観の上に成り立っており、その価値観の基にモノづくりを行っているので表現が難しいですが製造物にはその価値観が細部に渡って深く染み込んでいるように思います。

この全体的な価値観こそが差別化であり、メイドインジャパンの信頼を勝ち得ている本質だと感じます。S_Column_202006_2.jpg

今回コロナ騒動でも日本でなぜ欧米の様に蔓延しないのかという議論が多く展開されていますが、マスク問題で日本に留学経験のある中国の方が書いていた記事では、日本人がマスクをするのは根本的に他人に迷惑をかけてはいけないという文化が長きにわたって価値観として根付いている事が理由だという事を書いていました。他人に迷惑をかけないという事や、おもてなしと言うと少し商売色が強くて個人的には違和感がありますが、思いやりを持った行動指針が日本人の価値観の源であるというのはとても共感するものです。先程の鉄道について言えば、時間に正確なのも乗る人に迷惑をかけず、快適な旅が出来るような配慮ですし、清潔であるとか壊れないというのもトラブルなく利用者に気持ちよく乗ってもらいたいという心意気がとても強く表現された結果のように私は感じます。

日本製品については価格が高いとか過剰品質という点が議論に上がります。当然、原価低減努力や過剰すぎる機能、性能については精査しないといけませんが、購入する方に理解して頂きたいのは前述するような価値観なので、高い満足度を提供する事に対しての妥協はしてはいけません。価格に関しては人件費の安い国での生産や為替レートや税制優遇等の有利なところで生産すれば達成できますが、前述した日本人のとても長い伝統的な価値観がしみ込んだ製品設計思想と運用するサービス設計は今日明日で模倣できるものではありません。それは製品販売という名を借りた文化・価値観の提供そのものだからです。

世界では日本のように便利なインフラや快適な生活環境が整っている国はまだまだ少なく、割と進んだ先進国でも快適に生きていくのが難しい人も多くいます。青臭いかもしれませんが、高いレベルでの幸せを提供できる可能性がある事を考えると日本が出来る事はまだまだ多くあるのではないでしょうか。

表現の違いだけかもしれませんが、単に製品を売るというのではなく、世界中の人が快適に生活でき幸せになれるような思いやりの心を込めた製品、サービスを開発し提供する、そのメッセージで販売活動、広報活動を行う事をすればおのずと商売は広がるように感じます。壊れないとか、性能が高いとかの表のスペック部分に焦点を当て過ぎず、何故そういう製品なのかという日本の思いやりの価値観をストーリーとして活動しなければならないのではないかと思いました。

とは言え、日本人は謙虚さも大切にしているので背景にある思いも「察してください」と考えて、それをあえて大きくセールストークにするのは粋ではないと考えるところもありますが.. 表現というのは本当に難しいですね。

S_Column_202006_3.jpg別のストーリーでは、F1においてレッドブルとエンジンを担当しているHONDAのストーリーもとても個人的には嬉しくなる話でした。ここにも日本人らしさが表れているように思います。レッドブルがルノーからHONDAに変更してから、レッドブルがインタビューで話しているのは、HONDAは誠実に努力してくれて、その仕事ぶりを見る事で優勝できると確信に変わったという記事です。私自身が直接見たり聞いたりしたわけではありませんが、誠実で真面目なモノづくりというのは提供先に喜んでもらう事を本当に願って真摯に向き合った結果ではないかと感じます。

欧米流のマーケティング手法など販売方法が高度化して、日本の会社も導入しており学ぶことも必要ではありますが、メイドインジャパンの売り方はその先にあるもっと日本らしい売り方でこそ仕事を行う意義を感じる事が出来るのではないかと考える今日この頃です。

さて皆さんはどのように感じておられるでしょうか?

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