ハイパーループ構想と物流について

2018.12.17

代表取締役社長 山本 智明

いつもご愛読頂き、誠にありがとうございます。

今回は物流関係の話を記載したいと思います。 最近思うのは何とか人手不足の物流を解決できないのだろうかという事です。 イーロン・マスク氏がハイパーループ構想をぶち上げて、2018年7月末にHyperloop One社がネバダ州で試験運用を成功させたり、スペースX社が試験トンネルを2か月以内に開通すると発表したりして賑やかになっています。

さて、ハイパーループ構想はもともと人を輸送する事を前提にしていますが、ヴァージン・ハイパーループ社が「Cargospeed」構想を発表したり、京東集団(JD.com)がリニアモーター式パイプ輸送技術の研究開発をはじめ、トラック輸送の脱却を検討しています。 日本でも2008年頃に「東海道物流新幹線構想」というのが検討されました。 この構想自体はどうも進んでいないようですが、そろそろ物流は真剣に検討しなければならない時代と思われます。

政府の掲げるSociety5.0では、物流改革としてトラックの隊列にて無人化率の向上や、ドローン配送等が挙げられていますが、もっと単純で確実な方法はないのでしょうか? 無人走行は今ある道路の走行を実現する為には法的問題や技術問題があり、まだ多くの時間がかかると思われます。 よって、個人的には京東集団やスペースX社が構想しているパイプ方式の輸送スタイルが良いのではと感じます。

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パイプ方式はトンネルを掘ってポッドのようなものをレールで走らせるのですが、Cargospeedのように時速1000Kmも必要はなく、現在の高速道路を走るトラック程度の速度があれば実用上は問題ないと思います。 中のポッドはパレットを積載できるサイズにすることで、業務用の輸送にフィットさせます。 

少し簡単にシミュレーションしてみましょう。 大枠を掴むのが目的なので細かい点は異論があると思いますがご了承ください。まずはニーズですが、国土交通省から「貨物・旅客地域流動調査 貨物地域流動調査」が報告されています。 この報告書には何処から何処へ輸送したかという都市間輸送量を記載した便利な資料が入っています

物流貨物はかなり多く、平成28年度で49億トンが全国で輸送されています。 その中で、関東圏と近畿、中国地方との物流を題材にします。 資料では往路復路合わせて約4900万トンです。これは自動車、鉄道、船の総貨物ですが、自動車換算した場合、4トントラックで、1225万台に相当します。なんと1日に13万5千トンを輸送する計算になるのでニーズは申し分ありません。

次にどうやって運ぶかです。これも簡易的に考えてみます。 ただし、上記4900万トンの中には、砂利、コンクリート、石油化学製品、鉄鋼製品等があり、ポッド輸送へ切り替えるのが最適とは言えないものもあります。 上記資料で運びにくそうな上記品目を除外すると約58%程度になり2850万トンが対象になり、これでもかなりの量になります。

良く使う標準段ボールだと、JISのイチイチパレットに3×3個で9個ぐらい積載できそうで、高さはないので、パレット3段積みし、これを運ぶ1両単独のポッドと想定すると、1回に27個を輸送できます。 1秒間隔でポットを出発させれば1年に27個×60秒×60分×24時間×365日で8.5億個を輸送できます。 1個当たりの重さを20kgとすると約1700万トン輸送できるので、上り下り合わせると輸送量の累計は3400万トンにのぼり、十分賄えそうです。メンテナンスや故障を考慮すると、複々線化の必要性も考えられます。

次に収益性です。まず収入を考えてみます。現在、大阪から東京まで4トントラックを頼むと、約8万円+高速代がかかるようです。 合計9万5000円ぐらいですので、切り良く10万円とします。

4トントラックで2850万トンを単純に割ると712万台となり、10万円をかけると7120億円になります。  

輸送をすべてパイプ方式とした場合、東京から大阪まで掘るとどのくらいコストがかかるのでしょうか? トンネルは掘る場所でかなり違いがあり、インターネットで調べてもまちまちです。 高速道路のトンネル建設費を見てみると、樽峠トンネルで1kmあたり、50億円程度、恵那山トンネルで100億円程度、またシールド工法の場合は80億円~110億円という記事があったので、仮に100億円/kmとします。 東京~大阪で約500kmあるので単純に掛け算すると5兆円かかります。  ただ、工期に関しては切削のスピードが1日15メール程度なので、10機同時進行でも9年かかりますが・・・。

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こう考えていくと、5兆円に設備投資等で2兆円程度かかったとすると7兆円、リニア新幹線の試算が東京-大阪間で8.5兆円なので割と近い気がします。 収入が年間0.7兆円だとすると、投資の回収には単純計算で10年かかります。維持運営費用もかかるので20年程度必要かもしれません。 しかし、人を運ぶ訳ではないので設備も簡略化できますし、リニア新幹線は地中化率が86%なので同様の地中化率であればコストを下げる事が可能です。 また、ルート上の短距離輸送も引き受ければ収益は向上します。技術は今の最先端技術で良いので、一度こういうものを全国に張り巡らせれば、現在の電気・ガス、上下水道のように、大きなロジスティックセンターからベルトコンベヤで小さい配送センターまで接続してネットワーク形成も視野に入ります。東京周辺50km圏内の配送であればトンネルと最新のマテハン機器でも当日配送は可能に思われます。

ECによる宅配増加、少子高齢化、渋滞問題、CO2等の環境問題の状況を考慮すると、実施する価値があるように思います。皆さんはどう思いますか?

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