重要なのは目に見えない価値?

代表取締役社長 山本 智明

いつもご愛読頂き、誠にありがとうございます。

皆さん、新しいビジネスへのチャレンジ、研究開発、教育を行う時に、何を効果として実行するかという判断に困っていませんでしょうか? 私も上記内容を企画、実施する時にいつも悩んでしまいます。
例えば目に見えない価値の仕訳が簡単に見える化できればどんなに良いかと考えます。
日々のオペレーションは目的がはっきりとして分かりやすいですが、目に見えない価値への投資についてはとても悩ましいものがあります。しかし、目に見えない価値への投資こそ重要だと私は思っています。

目に見えない価値への投資は自分自身の成長しかり、部門、会社として継続できるか、成長できるかの大きな比率を占めているように思います。企業で考えた場合、評価尺度としては損益計算書を見れば売上・利益がどのくらいかというのは分かりますし、バランスシートを見ればどのぐらい資産があるかは分かるのですが、これは実態のほんの少しの側面しか表現できていないと思われます。

stockfoto_35905420_XS.jpg

目に見えない価値というと無形資産の評価という企業買収等で利用される固い理論はありますが、ここで使われるブランド、ノウハウ、顧客リスト、のれん、借地権等の話をしたいのではありません。焦点を当てたいのはもっとミクロな内容で日々のオペレーションについての価値の蓄積とそこから生み出される効果です。

例えば経験値というのはとても貴重な資産です。 個人の経験値はすぐに浮かびますが、組織的な経験値もあります。当然、ストックしているものはこれを使って活用しなければ更なる資産を生み出しません。 見えないストックは企業内には多くあり、見方によっては資産と認識してない、もしくはされてない物もあります。 また、技術の場合は時間が経過し外部環境の変化によって劣化していく場合もあります。

例えば、ある挑戦的な仕事があり、それを受注して納品した場合、分かりやすいのは売上であり、利益です。
これは当然損益計算書にダイレクトに反映されますが、それ以外にはどのような価値があるでしょうか?
挑戦したことにより、その担当者が大きく成長する機会が得られるかもしれません。 また、新しいお客様の場合、継続的にお付き合いできる可能性が得られるかもしれません。 また、ここで作り上げたノウハウが他のプロジェクトや製品に応用できるかもしれません。 また、新しいチーム編成により、コミュニケーションが生まれ、チームメンバーの情報交換が進み新しいアイデアの創造が起こるかもしれません。
このようなミクロな効果はB/S、P/Lには表現されませんが、確実に今後の会社を変えていきます。
得るものの効果が大きくても、数字に表現されるのは売上と原価、また、差額による利益だけです。

小さな資産が多く集まると大きな資産になる場合もありますし、小さな資産の利用により日々効果が生まれる事も多いでしょう。 皆さんは帳簿に現れない日々のストックについて長期に渡って記録して管理されていますでしょうか? 

例えば複式簿記というのは良く出来ています。 この会計の仕組みを見えない価値に使ってみるとどうなるでしょうか?貸方に投資を記入して、そこで得られたものを借方に記入します。 ここでは借方に定性的な内容を記述します。 
次に得られたものが活用されて、資産が生まれた場合は、再度複式記述で記載していきます。
教育であれば、教育結果で新しい仕事が得られるかもしれません。 技術調査では新しいアイデアが得られるかもしれません。 実際の金額はひとまず置いて、活用時に得た資産以上の効果が生まれれば、適切な投資と回収になっている事になります。 

stockfoto_45174923_XS.jpg

さて、最近デザイン思考やオープンイノベーション等の創造プロセスに投資がされています。 このケースにしても、もし当初の目的が達成できない場合があったとしても、経験等得られたものは多くあるでしょう。 失敗するというのも成功へ一歩ずつ近づいているとすると、失敗さえも失敗するノウハウとして見えない価値として記述されます。 失敗を繰り返して成功をつかむというのはこの見えない資産の積み上げで成功という成果が生み出されます。 とはいえ必ず成功へたどり着くとは限りませんが。

重要なのは見えない価値の資産管理です。 意識してないと資産を資産と定義せず忘れられてしまうとか、見えない資産を得るという明確な目的がなく資産になっていないか、誰も気づいてなく活用をするという事さえも気づけなく同じ資産形成に再度投資するとか、使う段階にはもはや資産ではないという事になりかねません。これでは投資でなく単なる消費になっている可能性があります。

人間の感性は結構鋭いもので例え定性的に記録したとしても、貸方、借方の1ヶ月、1年で決算してみると資産形成と運用がうまくいっているかいないかが個人レベル、組織レベルで認識できるように思います。
さて皆さん個人、又は皆さんの組織において「見えない価値の決算」は好決算でしょうか?

  • LINE
  • Mail