「品質維持」と「異常発生時の原因究明の迅速化」を実現。

お客様に聞く

積水化学工業株式会社多賀工場における、高機能両面テープの製造ラインでは、YDC SONARとYDC SONAR TrueInsightを導入。「品質維持」と「異常発生時の原因究明の迅速化」を実現し、さらなる製造ラインの改善や最適化に取り組んでいる。導入の経緯と効果について、積水化学工業株式会社 多賀工場 工業テープ製造部 工業テープ生産技術課 課長 鈴木 康幹氏(右)、品質保証係長 福山 和行氏(右より2番目)、品質保証係 福山 誠氏(左より3番目)、大城 昭幸氏(左より2番目)、株式会社NTTデータセキスイシステムズ 化学ソリューション事業部 システム運用部 運用第二G 平井 良二氏(左)に詳しく伺いました。

積水化学工業株式会社

本社 (大阪本社)大阪市北区西天満2丁目4番4号
(東京本社)東京都港区虎ノ門2丁目3番17号
代表取締役社長 髙下貞二
設立 1947年3月3日
資本金 1,000億円
従業員数 23,017名(2014年3月期連結ベース)
事業内容 【住宅カンパニー】住宅事業、リフォーム事業、不動産事業、住生活サービス事業
【環境・ライフラインカンパニー】公共インフラおよび民間インフラ(建築)、その他機能材
【高機能プラスチックスカンパニー】エレクトロニクス分野、車輌・輸送分野、住インフラ材分野、ライフサイエンス分野、産業分野
【その他事業】産業材、農業・建設用資材等の製造・販売

1947年の創業以来、ひとのくらし、社会基盤に豊かさを提供するため、さまざまな商品やサービスを提供している積水化学グループ。地球環境にやさしく、60年以上安心して快適に住み続けることのできる住まいの提供を理念とする「住宅カンパニー」、安全・快適なライフラインや水環境づくりに貢献する「環境・ライフラインカンパニー」、高機能材料を開発・提供する「高機能プラスチックスカンパニー」という3つの事業体に、コーポレート部門を加えた体制で事業を展開している。
2008年10月に竣工した多賀工場は、現在、高機能プラスチックスカンパニーの主力生産部門として、高機能両面テープをはじめ、低アウトガス離型フィルム、LED部材、液晶・半導体関連材料などを製造している。
【写真:多賀工場(滋賀県犬上郡多賀町)の外観/写真提供:積水化学工業株式会社】

もくじ

  1. 1.データを可視化する分析機能や操作性を評価しYDC SONARを選定
  2. 2.各製造装置の実績データをYDC SONARに取り込み、生産管理システムと連携
  3. 3.定期的に分析レポートをチェックすることで、異常工程の発生状況を確認
  4. 4.ロットナンバーから実績情報を取り出し、YDC SONAR上で異常工程を分析
  5. 5.品質のエビデンスとなる生産プロセス情報もYDC SONARで分析
  6. 6.今後の拡張予定とワイ・ディ・シーへの要望と期待

データを可視化する分析機能や操作性を評価しYDC SONARを選定

YDC SONARを導入した経緯について教えてください。

クレームの出ない品質を実現し、お客様からの信頼性を向上させ、ムリ・ムダのない効率的な生産環境を実現することは、多賀工場の基本コンセプトの1つです。今回の取り組みも、そのコンセプトを具現化するための新たな挑戦の一環であり、製品の付加価値を高めて競争力を強化するための施策でもあります。

そのため、不良品発生時の原因究明に止まらず、工程異常をできるだけ早期に察知し、不良品の発生を最小限に抑え、できれば、発生自体を未然に防ぐことをめざしています。

しかし、日々発生する膨大な種類と量のデータを迅速に分析するのは、手作業では不可能で、バラバラに保管されている実績データを統合的に管理し、効率的かつ高度な分析ができる仕組みが必要でした。

そこで、本社の品質管理部門に依頼して、高機能両面テープの新製造ラインに最適なシステムを選定してもらいました。

新しい製造ラインの稼働と同時にYDC SONARを利用し始めたのでしょうか。

まずは、ラインの安定稼働が優先なので、実際にYDC SONARの利用を開始したのは製造ラインが稼働した後になりますが、製造ラインの設計時からYDC SONARのことは意識しながら構築を進めていきました。

導入するシステムを選定する際の具体的な要件事項を教えてください。

具体的な選定要件として挙げたのは、次の5つの項目です。

  • データの処理速度(高速処理)
  • トレンド分析機能の有無
  • 統計解析機能の有無
  • 要因層別分析の有無
  • 操作性の良さ

これらの要件をベースに、いくつかのアナリティクス・ソフトウェアやBIツールと比較検討した結果、要件をクリアしていることはもちろん、導入実績やワイ・ディ・シーのサポート体制なども評価し、YDC SONARを選択しました。

YDC SONAR TrueInsightも導入していますが、その理由も教えてください。

YDC SONARは、どちらかと言えば専門家向けのツールで、より深い分析を行うのには使いやすいのですが、多少の知識や慣れも必要となります。しかし、製造現場における工程異常の確認には、テンプレート化した情報をシンプルな操作で表示できれば済むので、YDC SONAR TrueInsightを導入しました。

実際、必要な期間を指定するだけで、だれでも簡単に引き継ぎ時に確認するレポートが表示できるので、現場に負担をかけることなく、工程異常の確認ができるようになりました。

各製造装置の実績データをYDC SONARに取り込み、生産管理システムと連携

YDC SONARの導入状況について教えてください。

当社の多賀工場で生産している「高機能両面テープ」の製造ラインにおいて、YDC SONARとYDC SONAR TrueInsightを導入しています。

「高機能両面テープ」とは、どのような製品なのでしょうか。

当社では、さまざまな産業分野で使われる工業用テープを生産していますが、高機能両面テープは電子材料分野をはじめ、自動車分野や住宅・建材分野、医療分野で、主に接着剤の代わりに利用されています。近年は、スマートフォンやタブレット端末の部品を張り合わせるために使用される、耐衝撃性・耐久性・高導電性を備えた高機能両面テープの生産量が順調に伸びています。

高機能両面テープの製造ライン概要(画像提供:積水化学工業株式会社)
具体的には、YDC SONARをどのように利用しているのでしょうか。

製造ラインの各装置で発生する稼働実績データをYDC SONARに取り込み、生産管理システムと連携して、ロットや製造期間を絞り統合的に分析できるようにしています。

その分析結果を定期的に確認することで「品質維持」を図ると同時に、「迅速に異常発生の原因を究明」できるようになりました。

高機能両面テープの製造ライン概要(画像提供:積水化学工業株式会社)

定期的に分析レポートをチェックすることで、異常工程の発生状況を確認

YDC SONARを使って、どのように「品質維持」を図っているのでしょうか。

YDC SONARを導入している製造ラインは3交代制24時間体制で運用しています。シフト交代時に、各装置から抽出した生産実績情報をYDC SONARで分析。その結果をYDC SONAR TrueInsightを使って表示し、製造ラインに異常がなかったかどうかを確認しています。もちろん異常が見られれば、その原因を見極めて必要な対応を取ります。

YDC SONARおよびYDC SONAR TrueInsightを導入したことで、定期的に製造ラインの状況を確認でき、異常が見つかったときの影響を最小限に抑えられるようになりました。

YDC SONARおよびYDC SONAR TrueInsightを導入する以前は、どのように対応していたのでしょうか。

「高機能両面テープ」は、工程異常によりテープの厚みや粘着力などに不具合が発生する場合があります。たとえば厚みが0.05mm異なれば不良品となってしまい、粘着力の強度も見た目だけではわかりません。そのため、明らかな製造ラインや機器の異常を除き、このような不具合を製造工程で発見するのは容易ではありません。

結果として、これまでは出荷検査時に発見されるまで、不具合を見つけ出すことはほとんどできませんでした。また、出荷検査は抜き取りで検査をしますので100%ではなく、製品の出荷後に不具合が見つかる可能性もゼロではありませんでした。

シフトの交代時に確認する生産実績情報の画面サンプル(YDC SONAR TrueInsight)

ロットナンバーから実績情報を取り出し、YDC SONAR上で異常工程を分析

続いて、「迅速に異常発生の原因を究明」についても、詳しく教えてください。

YDC SONARによって実績データを一元管理し、生産管理情報と連携させたことで、ロットナンバーから即座に各装置の実績データを絞り込むことができるようになりました。

しかも、YDC SONAR上で詳細な分析ができるので、原因を究明するまでの手間と時間を大幅に短縮できます。その結果、お客様へご迷惑をおかけしてしまうような場合でも、迅速に原因や対応状況を説明できるようになりました。

これまでも、各装置に製造時の実績データは残っていたのですが、項目数は全部で800項目以上におよび、形式なども装置ごとにバラバラ。生産管理システムとも連携していませんでした。

そのため、不具合の発生したロットを製造したときの実績データを見つけ出すことすら容易ではなく、原因を究明するのに最低でも半日以上かかっていました。必要な場合は長時間、製造ラインを止めざるを得ないこともありましたが、現在では非常に短時間で原因を究明できるようになりました。

品質のエビデンスとなる生産プロセス情報もYDC SONARで分析

YDC SONARの導入効果について教えてください。

定期的な工程異常の確認が簡単にできるようになったことや、異常発生時の原因究明を迅速に対応できるようになったのは、これまで話をしたとおりです。

それ以外では、最近で、品質のエビデンスとして材料や生産条件、生産プロセスなどの情報も、試験成績書と合わせて提出を求められることがあり、その際、YDC SONARでレポートを作成して添付することもあります。詳細な分析やデータを簡単にまとめられるので便利です。

導入時に苦労したことなどはありましたか。

YDC SONARはスムーズに導入できましたが、取り込む項目を決めるのには試行錯誤しました。当初は、約800種類のデータすべてを取り込むことも考えていたのですが、むやみに項目数を増やすとパフォーマンスにも影響が出ますし分析も複雑になるので、まずは最小限の項目に絞り込み足りない項目があれば追加していくようにしました。

今後の拡張予定とワイ・ディ・シーへの要望と期待

今後の拡張予定などはありますか。

拡張というわけではありませんが、YDC SONARで管理するデータは約1年半で800GBになりました、この情報をもっと活用していきたいと考えており、さらなる製造ラインの改善や最適化に取り組んでいきたいと考えています。

また、現在は一般的な基準で装置のメンテナンスをしていますが、当工場の利用条件に基づいた分析をして、メンテナンスや部品交換などの最適なタイミングを予測することにも活用したいと考えています。

ワイ・ディ・シーへの期待などあればお聞かせください。

機能面では、YDC SONAR TrueInsightでの表現力を見てしまうと、YDC SONARの表現力には物足りなさを感じてしまうこともあります。その点の強化は期待したいところです。

また、YDC SONARの活用方法について、ほかの工場や製造現場での様子を教えてもらえるとうれしく思います。工場には機密情報が多いのでグループ内でも、意外にほかの工場が何をどうしているのかということは、わからないものです。ユーザ会などでの情報交換も行われているようですが、参加できない場合もあるので、ワイ・ディ・シーからのさらなる情報発信に期待しています。

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

  • 取材日時 2015年2月
  • 積水化学工業のサイト
  • 記載の担当部署は、取材時の組織名です。

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