部門を横断したデータ分析を実現。

お客様に聞く

世界有数の変速機専門メーカー「ジヤトコ株式会社(以下、ジヤトコ)」では、YDC SONARを導入することで製造現場における品質情報の統合分析環境を構築。適正かつ迅速な判断と行動ができる体制を実現した。YDC SONARを導入した経緯と効果について、ジヤトコ株式会社 品質保証サービス部門 品質保証部 部長 森 隆直氏(後列中央)、同部門同部 プロフェッショナルスタッフ 木室 正一郎氏(後列左)、生産部門 生産戦略部 業務革新課 藤山 雅博氏(前列左)に詳しく話を聞いた。

ジヤトコ株式会社

本社 静岡県富士市今泉700番地の1
取締役社長 秦 孝之
設立 1999年6月28日
資本金 299億3,530万円
従業員数 6,359名(2011年3月31日現在)
事業内容 変速機及び自動車部品の開発、製造及び販売

乗用車のステップAT(有段オートマチック・トランスミッション)やCVT(無段変速機)を主軸に、クルマのコンセプトに合った安全で快適な「走り」を企画し、開発から生産までを一貫して行っている世界有数の変速機専門メーカー。高い技術と幅広いラインナップを世界中のカーメーカーに提供し続け、特にCVT(無段変速機)分野においては業界の先駆者的役割を果たしている。国内のみならずメキシコや中国などグローバルな生産体制を展開している。

もくじ

  1. 1.自動車部品の開発・生産に関する品質情報の統合と解析にYDC SONARを活用
  2. 2.紙の帳票による管理では、モニタリングは難しく迅速な原因調査も困難
  3. 3.他のツール導入を検討するも、最終的にYDC SONARを選択
  4. 4.分析機能はもちろん、横展開が可能なテンプレートと使い勝手の良さを評価
  5. 5.定量的な効果だけでなく、現場の意識の変化も実感
  6. 6.今後の拡張予定とワイ・ディ・シーへの要望と期待

自動車部品の開発・生産に関する品質情報の統合と解析にYDC SONARを活用

YDC SONARをどのように利用していますか。

当社が開発・生産している自動車部品に関して、統計的工程管理(SPC)による品質の「常時監視」や不具合発生時の「原因調査」など、品質情報の統合と解析にYDC SONARを利用しています。

現在、工程管理データや設計・工程変更情報など、70項目以上の社内データをYDC SONARに取り込み連結させており、目的に応じて必要なデータを検索・抽出できるようにしています。また、グラフやデータを1つに画面上にイメージで表示することで、迅速かつ詳細に分析できるようにもなっています。

「常時監視」と「原因調査」について、もう少し詳しく教えてください。

「常時監視」は、ラインや製品に関する異常の早期発見や品質の改善に取り組むため、各製造工程における品質情報や環境情報の分析を行い、しきい値を定めてモニタリングを行います。

一方、「原因調査」はクレームや製品不良などの発生時、設計変更工程の有無や品質・環境情報の変化などを見極め、製造時の状況を把握することで異常の原因を調べるために利用します。

現場で発生するさまざまなデータは、どのようにYDC SONARへ取り込んでいるのでしょうか。

各製造工程の現場で発生するデータは、ほとんどが表計算ソフト上で管理されているものの、フォーマットや項目は標準化されていませんので、そのままYDC  SONARへ取り込むことはできません。そのため、データはいったん各部署のサーバに蓄積され、1日に1回、集計用サーバでデータスクリーニング(全角半角、日付、改行キーなど)のバッチ処理を行い、YDC SONARのデータベースへと格納しています。

紙の帳票による管理では、モニタリングは難しく迅速な原因調査も困難

YDC SONARを導入する以前は、どのように「常時監視」と「原因調査」などを行っていたのでしょうか。

部門ごとにバラバラなシステムや帳票を使用しており、一部は各部門のPC内にデータで保管されていましたが、品質管理に必要なデータのほとんどは紙の帳票で管理・保管されていました。そのため、常時のモニタリングは難しく、原因の調査を行う際も手作業による人海戦術で行わなければならない状態でした。

YDC SONARを導入した背景を教えてください。

自動車部品は多種多様の部品と工法で成立しており、製品の造り込みから販売してからのデータやパラメータが複雑かつ膨大に絡み合っています。そのため、大量の情報を部門横断で蓄積・共有する環境を整えるのは容易ではありません。しかも、お客さまから求められる要求のスピードも質も厳しくなってきており、これまでの方法では対応が難しくなってきていました。

一方、社内においても、基幹業務系の業務改善や書類作成などといった作業による現場の負荷が高まっており、本来注力すべき品質に関する業務に時間と手間をかけられないといった状況が続いていました。

このままの状態では、品質に関する問題や事故が発生しかねないとともに、不具合が発生したときに迅速な対応を取ることも難しいということは明白でした。そこで2008年に、品質情報の統合と解析を効率的に実現するための環境作りを行うプロジェクトを発足させました。

他のツール導入を検討するも、最終的にYDC SONARを選択

YDC SONARを導入するにいたった経緯を教えてください。

ある工場へ見学に行き、現場からの情報を統合的に管理して検索・分析するシステムを見せていただきました。そこでは、部門横断でデータが蓄積・共有されているだけでなく、情報が「見える化」されており、ダッシュボード上でリアルタイムに課題が共有されていました。

当社でもこのようなシステムを導入できればと考え、当初は自社でシステムを開発する方向で話を進めていました。ところが、自社でシステムを開発すると導入時はもちろん、運用や拡張にも膨大なコストと手間が必要で手離れが悪いという判断から、既存のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールシステムを利用して、迅速に同様の仕組みを構築できないかと考えました。

しかし、実際にBIツールの選定に入ると、思っていた以上にシステムの規模が大きくコストがかかる上に、現場へ展開していく際、業務に合わせてシステムを作り込んでいかなければならないということがわかりました。システムの能力は高いと思ったのですが、逆にオーバースペックだということから導入を断念しました。

そこで、YDC SONARの導入検討を本格的に始めることになりました。最初はテストも兼ねて品質保証部門の一部で導入するところからはじめ、徐々に適用範囲を広げながら2011年6月から本格的な利用を開始したのですが、実は一部のプロジェクトメンバーの中からは、プロジェクトの開始時からYDC SONARがいいのではないかという声はありました。

なぜ最初からYDC SONARの導入を本格的に検討しなかったのでしょうか。

YDC SONARに関しては半導体製造などにおける事例は豊富だったものの、当時は自動車部品の製造における事例が少なかったこと。そして、簡単に言ってしまえばメジャーなBIツールに目移りがしてしまったというところはありました。

分析機能はもちろん、横展開が可能なテンプレートと使い勝手の良さを評価

YDC SONARのどのような点を評価したのでしょうか。

当社の場合、製品や部品によっては20年間データを蓄積しておかなければならないものもあり、データの種類も多種多様です。そのような大量のデータを迅速に処理できるという点が、最重要ポイントであり、当社に取っては必須とも言える条件でした。

使い勝手の点では、テンプレートを使って情報の抽出や分析方法を横展開しやすいという点が優れていると評価しました。部門や工程が異なっても、同じような手法で分析をしていたり、テンプレートに少し手を加えるだけで再利用できることが多いからです。

また、いくら優れたシステムを導入しても、現場が簡単に利用できるようなものでないと利用されませんし、利用が進まなければデータは蓄積されません。YDC SONARは、簡単かつ迅速に分析結果を画面で確認できるので、ユーザのモチベーション向上にもつながります。それが、さらに新たな改善への取り組みにつながれば、PDCAのよい流れを実現できると考えました。

一方、細かな機能面に関しては、SPCによる自動監視/アラーム監視をはじめ、工程の結果や要因に関連するパラメータ間に関する因果関係の比較分析や、多変量、成分分析などによるパラメータの寄与率解析など、さまざなデータの解析を簡単にでき、グラフ化も容易だという点を評価しました。

定量的な効果だけでなく、現場の意識の変化も実感

導入効果について教えてください。

異なる、関連した工程のデータを瞬時に連結し比較分析できるようになり、対象範囲の特定や状況も迅速に把握できるようになりました。その結果、判断や対応が格段にスピードアップしました。

また、素材から組み立てまでの生産現場の品質情報が連携するようになりましたので、これまで1週間以上かかっていたようなトレーサビリティの調査も、わずか数時間で完了する環境が整いました。

定量的な効果などを紹介していただくことは可能ですか。

外部に公表できる定量的な効果としては、次の3つのような例があります。

(1) 精密機械加工工程におけるCpk(工程能力指数)向上
加工ラインにおける作業者別の特性の推移やバラツキを可視化することで、人によって測定方法や測定結果の記録、さらには機械へのフィードバックに差があることが判明しました。それをもとにルール化を徹底し、機械の調整を行ったところ、12ラインの平均でCpkを「0.5」向上させることに成功しました。
(2) 精密機械加工工程における不良低減
加工ラインにおける不良品発生の要因を分析した結果、自工程不良数が減少し加工特性による不良数のピーク値を半減することに成功しました。結果、1ラインで年間数百万円のコスト削減につながりました。
(3) 多軸加工工程における品質維持プロセスの改善
テスト情報を関連する組同士だけで連絡していましたが、YDC SONAR上でダイレクトにリークテスト情報を共有し閲覧できるようになってから、リードタイムを大幅に短縮することに成功しました。
現場における利用しやすさを選定の理由に挙げていましたが、現場の反応についてはいかがでしょうか。

データを有効活用するために、これまで測定していなかったデータを測定したり、より精度の高いデータを測定できるよう設備メーカーに依頼をする例も見られるようになってきました。また、標準作業書の中にYDC SONARの利用が追記されるようにもなってきました。

このような例を見ると、現場の意識が変わってきたことを感じますし、YDC SONARによってデータや現場の品質管理状況が可視化されたことで、データの間にあるやるべきことも見えるようになってきているのではないかと考えています。

今後の拡張予定とワイ・ディ・シーへの要望と期待

今後の拡張予定などはありますか。

テンプレートの数を増やし、同時にテンプレートの質を高めていくことも重要だと考えています。一方、YDC SONARのバリデーション(検証)を行い、その有効性を見極めながら適用範囲を拡大していきたいと考えています。

また、当社の場合は生産拠点をグローバルに展開していますので、国内のみならず現地のスタッフもYDC SONARを利用できるようになれば素晴らしいと思います。

ワイ・ディ・シーへの期待などあればお聞かせください。

YDC SONARの導入に際して、ワイ・ディ・シーには多大なるサポートをいただきとても感謝しております。今後も、YDC SONARの普及拡大に努めていただければと思います。

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

  • 取材日時 2011年9月
  • ジヤトコ株式会社のサイト
  • 記載の担当部署は、取材時の組織名です。

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