災害時にも平常時と変わらない住民窓口サービスを継続できる環境を目指す。

お客様に聞く

導入前

  • 本番システムのデータを夜間に日次同期。日中にシステムが停止すると、当日朝から処理したデータが待機システムに反映されないため、差分データを処理するための特別なオペレーションが必要。
  • 災害時に利用できる窓口端末の数が限定されるため、処理できる業務量が限定される。

導入後

  • 本番システムのデータを10分間隔で同期。ほぼリアルタイムで待機システムに同期させることで、システムが停止しても、直前までの処理データを利用して業務を継続させることが可能に。
  • 災害時にも、平常時に利用している窓口端末の全台で普段通りの業務処理が可能に。

本庄市役所では、Standby Expressを導入することで、有事の際にも平常運用時とほぼ変わらない住民窓口サービスを提供し続けられる万全のシステム環境を構築した。Standby Expressを導入した経緯と効果について、本庄市 企画財政部 情報システム課 課長 松嵜隆良氏、同課 課長補佐兼情報システム係長 中山秀明氏、同課 情報政策係 主査 柳貴章氏、及び本システムの導入にあたって技術面で先導的な役割を果たした株式会社両毛システムズ 公共事業部 マネージャー 海老沼正臣氏、同部 プロジェクトマネージャー 園部順氏、同部 営業第1課 リーダー 大部健太郎氏に詳しく話を聞いた。

本庄市

本庁舎住所 埼玉県本庄市本庄3-5-3
面積 89.71km²
人口 81,017人(平成23年11月1日現在)
世帯数 32,690世帯(平成23年11月1日現在)

販売パートナー企業概要

株式会社両毛システムズ

本社 群馬県桐生市広沢町3丁目4025番地
設立 1970年 1月31日
事業内容 ソフトウェア開発・システム販売、情報処理サービス、システム機器・プロダクト関連販売、その他の情報サービス

もくじ

  1. 1.10分間隔で本番機とバックアップ機を同期、万一に備えた待機システムとして利用
  2. 2.同期のリアルタイム性を高め、待機システムとの差分データを最小に
  3. 3.有事に際しても、平常時と同じ量の業務を同じ手順で処理することが可能に
  4. 4.年1回の実務訓練で対策の実効性を確認、運用面でも備えを強化
  5. 5.IT-BCPの実現に向けて

10分間隔で本番機とバックアップ機を同期、万一に備えた待機システムとして利用

本庄市役所ではYDCのStandby Expressをどのように利用していますか。

本庄市役所 中山氏:住民の皆様に提供する窓口サービスを支えているシステムの待機用システムとして利用しています。市役所の住民サービスは、住民基本台帳の転出入・転居・世帯変更等の異動処理から、印鑑登録・廃止、戸籍届書の受領、各種証明書の発行、課税関連、下水道等の都市整備関連に至るまで多岐にわたりますが、主に総務部が担当している住民基本台帳に関わるサービス、課税・収納関係サービスを中心に、本番システムのデータを待機システムに同期させています。

本庄市役所の住民情報に関わるシステムは、およそ30程度あります。そのうち、窓口サービスに関わる約半数について待機用システムに同期させ、本番システムが停止するなどの問題が発生した場合に切り替えができるようになっています。

同期の方法について詳しく教えてください。

本庄市役所 中山氏:遠隔地のデータセンターで管理している本番機のデータを、庁舎内のバックアップ機に10分間隔で同期させています。完全なリアルタイムの同期ではありませんが、市役所での窓口処理は1件あたり数分から複雑なものでは10分程度かかりますので、実質的にはほぼリアルタイム同期と変わらないレベルで、窓口で処理したデータが待機システム側にも取り込まれていることになります。この仕組みにより、万一の災害等で本番システムの稼働に問題が生じたり、通信回線が途切れるようなことがあった場合にも、迅速に待機システムに切り替えることで、直前までに処理したデータを利用しながら窓口サービスを機能させ続けることができます。

同期のリアルタイム性を高め、待機システムとの差分データを最小に

災害対策の仕組みを見直すこととなったきっかけを教えてください。

本庄市役所 中山氏:災害対策用のバックアップの仕組みは2006年の旧本庄市と旧児玉町の合併より以前からありましたが、見直しは、合併を機会に、両市町のシステム統合が必要になったことがきっかけでした。当時のバックアップシステムが日時同期であったことや、設置場所の電源の問題などがあり、2009年のリプレイス時に改善が図れるよう担当者と両毛システムズの担当SEとで協議をしてきました。

技術支援の立場で、本庄市役所の災害対策の見直しにあたって特に重要視していた改善点は何でしょうか。

両毛システムズ 海老沼氏:仕組みの見直しにあたっては、待機システムに切り替える直前までに処理したデータを継続利用できるように、同期のリアルタイム性を高めることを条件としていました。災害対策用のバックアップの仕組み自体は合併前からありましたが、日次で同期をとる方式が採用されていました。朝から夕方までの間に窓口で受け付けたデータを、まとめて夜間にバックアップするという方法です。オラクル社のツールであるData Guardと機能の類似したシステムを利用していたのですが、開庁時間内に同期処理を走らせると、本番システムに負荷がかかり、業務に影響が及んでしまうという課題があったためです。

当然のことながら、この方法では、日中に本番システムが利用できなくなって待機システムに切り替えることとなった場合、前日分のデータまでしか反映されていない状態で窓口サービスを継続することになってしまいます。今回のソリューション選定では、業務に影響を与えることなく、いかにリアルタイム性を高められるかという点を重要視しました。

数あるバックアップソリューションの中で、YDCのStandby Expressを評価した理由を教えてください。

両毛システムズ 海老沼氏:まず挙げられるのは、同期処理の際に、どこまでレプリケーションが完了しているのかという「データの切れ目」がわかりやすいという点です。同期のリアルタイム性を高めることを条件としていたものの、完全なリアルタイム同期では、本番システムから待機システムに切り替えた時に、同期が完了しているデータ範囲を解析するのに手間がかかる心配がありました。その点Standby Expressは、10分に一回といった一定周期で同期のタイミングが設定できるため、両システム間の一時的な差分データを容易に捉えることができます。

先にも話にありましたが、窓口サービス1件あたりの処理時間を勘案すると、10分間隔で同期がとれれば、実質的にリアルタイム同期と変わらないレベルの対策になります。業務ニーズを十分に満たすことができると同時に、本番システムへの負荷や運用しやすさの面でもバランスのとれたソリューションだと感じた覚えがあります。

有事に際しても、平常時と同じ量の業務を同じ手順で処理することが可能に

今回の仕組みでは、多岐にわたる住民窓口サービスが対象となっていますが、現場職員の方々に対してはどのようなサポートを実施したのでしょうか。

本庄市役所 柳氏:特別な業務指導等は実施しておらず、簡単な通知を行っただけです。バックアップソリューションの中には、切替え後の環境下で業務処理の手順を変更しなくてはならないものもありますが、今回の仕組みは、手順を変える必要がありませんでした。この点は、今回の仕組みを導入するにあたって最も驚いたことの一つです。

技術支援の立場から、今回のシステムを設計・実装する際に配慮した点があれば教えてください。

両毛システムズ 海老沼氏:住民の皆様に対するサービスレベルを、どれだけ平常運用時と同等レベルに維持できるかという点です。そのためには、まずは平常時における本番システムへの負荷を最小にとどめるためのネットワーク構成から検討しました。窓口サービスの端末とデータセンターは10Mbpsの回線で通信接続されていますが、同期処理が本番システムのパフォーマンスに影響を与えることがないように、バックアップのパケットは全てバックアップ専用の1Mbpsの回線を通すようにしました。

また、待機システムに切り替わっている間にも、平常運用時と変わらない業務量を処理できるように、切替え後の環境下で利用できる窓口端末の数を可能な限り多く確保する必要があると考えました。アプリケーションサーバとDBサーバを分け、2台のサーバで実装する構成とすることで、有事に際してもカウンター横に設置されている全ての端末30台で住民の方々のご要望に対応できるようにしています。従来の災害対策の仕組みでは、10台程度の稼働を前提としていましたので、切替え後の環境で処理できる業務量はおよそ3倍に拡大したわけです。

年1回の実務訓練で対策の実効性を確認、運用面でも備えを強化

災害対策を強化するために特別に取り組んでいることがあれば教えてください。

本庄市役所 中山氏:年に一回、有事を想定した待機システムへの切替えシミュレーションを実施しています。本番システムの回線が切断されたという前提で、待機システムで業務を処理してみるという実務訓練です。有事の際の行動基準を定めるためにも有効に利用しています。

Standby Expressを導入して変わったと感じられることはありますか。

本庄市役所 中山氏:従来にも増して確かな災害対策を確立したことで、不慮不測の事態への対応に向けての安心感が高まりました。2011年3月の東日本大震災の際にも、余震や計画停電の影響が懸念されましたが、庁舎内の対策検討においても、年1回の切替えシミュレーションの実績に基づく信頼性の高い影響分析を行うことができました。

IT-BCPの実現に向けて

今回の仕組みに対するさらなる改善策や拡張などの予定があれば教えてください。

本庄市役所 柳氏:データのロールバックの仕組みを強化していくことなどが挙げられますが、現場業務の面で想定される課題を一つずつ整理しながら、完成度を高めていきたいと考えています。

今後の取組みに関するお考えを聞かせてください。

本庄市役所 松嵜氏:住民の方々へのサービスを止めないこと、サービスの継続性のためにとるべき対策は、長期的な視点で模索し続けなければならないと考えています。災害により回線が切断してしまうようなケースを想定した今回の対策は一例ですが、電力の供給が 完全に途絶えてしまうといった最悪の事態を想定した備えも必要です。また、災害だけでなくセキュリティ面の脅威に対しても、情報収集をしながら時代に合った先進的な対策を進めていこうと考えています。

両毛システムズ 大部氏:危機管理に対しては、本庄市役所は、他の自治体と比較しても高い意識をもって取り組んでいると日頃から感じています。今回構築した対策や、切替えシミュレーションを実施するなどの取り組みだけでなく、庁舎に無停電対応設備を設けるなどのインフラ面での対応も、他の自治体に先んじて進めています。今後も継続して本庄市役所の先進的な取り組みやチャレンジを、技術面で支えていきたいと考えています。

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

  • 取材日時 2011年11月
  • 本庄市役所のサイト
  • 記載の担当部署は、取材時の組織名です。

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